昨年からForemaのブログにしばしば登場しているプランクBBQの板。ただの杉板にしてただの杉板にあらず。それでは一体何なのか!?ここではプランクBBQの板ができるまでのプロセスをご紹介します。
1.当然ながら山から切り出す
板は、元々は山に生えていた杉の木です。素材は何でもよさそうなものですが、杉が一番香りが良く、また大量に生えているため在庫が安定しています。
また、林業の衰退によって切り時の杉の木が手をつけられず放置されっぱなしという問題もあり、背景には「安くしても売れない」という林業衰退の根本原因が横たわります。これら埋もれた資源を有効活用する意味でもプランクBBQの板は有意義な存在だと言えます。
山に生えている杉の木は、基本的には持ち主か、持ち主から委託を受けた森林組合や林業家が切り倒し、運び出して木材に加工していきます。Foremaで使用している杉の木は広島県北部の三次エリアのもの。三次は、一部鉄道マニアの間で話題になっていた三江線(廃線になった)の出発地点で、人口の少ない山と盆地がメインの場。林業においても他の自治体同様に衰退に歯止めがかからない状況が続いています。
三江線(さんこうせん)は、かつて島根県江津市の江津駅から広島県三次市の三次駅までを結んでいた西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。2015年(平成27年)に全通40周年を記念して、三江線改良利用促進期成同盟会・三江線活性化協議会による公募で決定した「江の川鉄道」の愛称があった[1]。2018年(平成30年)3月31日をもって旅客営業を終了し、翌4月1日付で全線廃止となったJR発足後(国鉄時代を含め)、路線距離が100kmを超える鉄道路線の全線廃止は本州では初の事例となった[5]。
広島県産の杉の木はブランド力こそないものの、昔は九州方面からもはるばる買い付けにやって来ていたほど品質は良いのだそうです。特に山の北面に生える杉の木は成長が遅くしっかり身が詰まって良質なものが多いのだとか。
そんな杉の木を、昨今では間伐という名目で切り倒す事が多いです。間伐というのは間引きの事で、残す杉の木をより立派に育てるためにいらない木を切っていきます。とはいえ、間伐された木々も立派なものが多く、それらは普通に木材として加工され市場に出ます。そんな杉の木が山から切り出され、木材市場に行き、そこから木材加工所に出荷されて文字通り加工されていきます。
2.まずは長い板になり、断裁される
杉の木は木材市場に行く時点で規格ごとに分けられ、木材加工所で一定の木材に揃えられます。幹の太さに応じて一枚板となった杉板は、そこからさらにカットされて「プランクBBQの板」のサイズに揃います。
そこから金属の研磨機で断面を綺麗に磨いて綺麗な板となります。板は、店先に並んでいるとただの板で何の感動も価値も感じないのですが、「山奥に生えて自然の一部を形成していた巨大な植物が、切り倒され、運び出され、そこから場所を変えて裁断され、それらがさらに細かく加工されてここに至る」というプロセスを見ると、ただの板がただの板ではない事に気づきます。
3.Forema 事務所に届けられる
板となった杉の木は業務用ラップにくるまれたあとにダンボールで梱包され、県北の山間部から海の近い都市部の弊社事務所に届けられます。箱から出した時点ではまだしっとりしており、杉の香りが事務所内に充満します。
ラップに包んだままだと水分が飛ばず、カビの原因にもなるので陰干しを行いながらしばらく弊社で眠ります。
4.焼印が押される
水分がある程度とんだ時期を見はからって焼印を押します。アウトドア現場では、この焼印の有無が雰囲気を大きく左右する事が分かっています。キャンプ場などでは人工物より自然物の方が多く、上質な杉の板であっても存在感が薄れがち。そんな時に焼印があるだけで立派なキャンパーグッズとしての存在感が増すというのが真相。
事実、木製のアウトドアグッズには焼印が入っているものが多いです。
5.杉の葉を調達する
Foremaでは不定期で杉・檜の枝や葉を調達しています。用途は撮影用や梱包用など。Foremaスタッフが野営や雪山登山などで山に入った際に折れて落ちた杉の枝を丸ごと持ち帰っているもので、一定数事務所に保管されています。
「プランクBBQの板」出荷時に、これらの葉が運良くあれば、同梱して一緒にお送りしています。アウトドア用の焚きつけにも役立ちますが、なにより絵的にもいい感じなので極力在庫を切らさないよう勤めています。(必ず同梱できるわけではありません)
尚、冒頭の写真に写っているのは「鹿の毛皮」と「角のオブジェ」と「木こりの原木スライス」てもフォトジェニックな逸品で撮影に活躍しています。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。