愛犬の癌を宣告され、余命がわずかと知った飼い主さんが抗がん剤治療を選択せず、最後においしいものを食べさせてあげたいと言う理由でForemaの商品を選んでくださる事例が増えています。
生命活動の最後の季節に選んでいただけるのはまことに光栄な事ながらも、同時に「なんとかできないのか」というのが社内での総意でした。
その流れを前提に、Foremaでの腸内細菌解析および、犬と癌、そして抗がん剤治療を諦めた場合の代替案模索について書きます。
目次
抗がん剤治療をしないという選択
なぜ治療を選択しなかったのか
抗がん剤治療を選択しない背景としは、(高齢犬に多いのですが)苦しい治療を選択しても、せいぜい数ヶ月しか延命できないという個別の事情があります。それならば、最後の時間を自由に幸せに過ごさせてあげたいという考えの方が多い様に思います。
これは人間における日本の終末医療のプロセスを見せつけられてきた私たちが、自然と辿り着いた一つの結論のような気がします。
抗がん剤治療をしなかった事例では、余命2ヶ月とか3ヶ月の場合が多く、抗がん剤を使用しても半年か長くて1年なのだと..。
苦痛緩和に徹するという選択
抗がん剤治療を選択しなかった場合、できるだけ苦痛を和らげ、好きなものを食べさせてあげたいと考える人が多い様です。おそらくこれは全人類が共通でたどり着く1つの形なのだと思います。とはいえ、自宅で看取る場合にどこまで苦痛が緩和できるのか? また他にもできることはないのかと考えている人も決して少なくないはずです。
1部の(というかとても多い)代替療法まがいの商品や商法、クリニックみたいなのが消えては現れ、どの時代でも常に暗躍している現実は、癌の闘病に関わった人であれば少なからずご存知ではないかと思います。
(関連記事:腸内細菌のコントロールで健康課題解決を目指サプリ)
癌治療をしない選択の代替案はあるか
東洋医学などの代替療法
愛犬の癌を治療せず、在宅で終末を看取る。この選択をした時、それでも別の代替案はないのだろうかと考えてしまう事は多いと思います。事業者として間接的に関わっている私たちですら思うのですから、当事者の方々の多くは強くそう思っているはずです。
放射線や抗がん剤など、西洋医学のがん治療を諦めたとき、浮上するのが東洋医学、統合医療(東洋医学と西洋医学、その他ホメオパシーなどの組み合わせ)、先進療法などの代替療法とよばれるものです。(要注意:この領域に、末期癌患者を食い物にする輩が多数存在しています)
Foremaで対応できる部分が東洋医学+テクノロジーの領域で、具体的にはコルジセピン含有の冬虫夏草と腸内細菌解析です。冬虫夏草については「癌が治ります」などのフレーズは薬機法的に完全にアウトなので表現が難しいのですが、コルジセピン自体には免疫力向上や癌細胞の縮小を報告する論文がいくつかあります。(研究室内のシャーレでの研究も含む)
その上で、本当に信頼できる製造元のものを使用していく事が最重要なのは間違いありません。※とある研究室が、国内で販売されている冬虫夏草10商品を独自に成分解析したところ、表示通りの成分が検出できた商品は0だったという実例があります。
癌(がん)とマイクロバイオーム解析
その上で、私たちが困っている人たちの課題解決に多少なりとも貢献できるとすれば、テクノロジー。具体的にはマイクロバイオーム(腸内細菌)解析の分野です。既に悪性腫瘍で闘病中のペット犬の検体を複数解析しており、その上で冬虫夏草粉末を一定期間摂取した後の事後解析を現在進めています。
これを行うことにより、もしも腸内細菌の推移的に良い変化が見えるのであれば、そこに希望を持ってもらえる価値があるように思います。
犬の癌(がん)とマイクロバイオーム/腸内細菌について
マイクロバイオームの撹乱/ディスバイオシス
ペット犬の腸内細菌解析で見えてきたこと。それは、癌の個体の腸内細菌の組成は健康体と比較して明らかに異なっているという事実。腸内細菌の組成が健康な個体とは大きく異なっている状態のことを、Dysbiosis(ディスバイオシス/撹乱)といい、腸内細菌が撹乱されているとか、腸内毒素症といった表現をされることもあります。
ともあれ、Dysbiosisは炎症の多発を軸に様々な不具合の原因に繋がります。実際、癌に限らず、これまで原因不明とされてきた急増するアレルギー疾患や、同じく近年増えている慢性膵炎、若年性糖尿病といった、いわゆる自己免疫疾患に共通して見られます。
Foremaではアレルギー個体のマイクロバイオーム解析およびサプリ使用前後の検証データも蓄積が始まっているのですが、食物アレルギーの個体も癌の個体も、似た様なマイクロバイオーム(腸内細菌)の組成をしています。
慢性的な炎症が癌を誘発すると結論づける論文もいくつか出ているのですが、慢性的な炎症というのはアレルギーだったり膵炎だったり、自己免疫疾患に共通するところなので、これらの両者のマイクロバイオームが類似しているというのは当然のことともいえます。
Dysbiosisが癌を引き起こすのか? それとも逆か?
マイクロバイオームが撹乱される事で癌になるのでしょうか? それとも、癌になる事でマイクロバイオームの組成が撹乱されるのでしょうか?
これらは双方が関与しており(相関関係)、ともにYesと言えます。とはいえ、腸内細菌が絡む多くの疾患において、先に炎症が起こり、のちに疾患が起きているので、炎症の結果が疾患(Dysbiosis→疾患)という流れが多いようです。
一方で、一部の口腔内最近が結腸癌の発癌に関与しているとか、特定の細菌が胃がんの発癌に関与している事例もあるため、全てをDysbiosisに結びつけるのは早計でもあります。
なぜDysbiosisが起こるのか
マイクロバイオームの撹乱、いわゆるDysbiosisはなぜ起こるのか?
一般的には下記の要因が指摘されています。
- 感染症
- 帝王切開
- 母乳を十分に与えられなかった
- 抗生物質(特に幼少期)
人間界における事例としては、帝王切開の増加と肥満との間に相関関係があるとか、自己免疫疾患の増加との相関が疑われるといった報告があります。
人も動物も、出産時に産道経由で多数の細菌類を母体から受け取ります。その後授乳によって同じく細菌類を受け取り、それが乳児期の腸内のマイクロバイオームの主な構成メンバーとなります。このとき、初期の構成メンバーを受け取り損ねると、その後に問題が起きるのではないかと指摘する研究が多数存在しています。
また、幼少期の抗生物質治療の回数と、その後の自己免疫疾患の発症率にも相関関係があるとする論文が複数存在しています。
その上で、人もペットも生活環境が潔癖になりすぎた、日々除菌しすぎているといった環境要因などが影響しているのだと考えられています。
ここは非常に奥深い領域で、まだ獣医学が追いつききれていない領域でもあります。
(※ともあれ、わけのわからないイカサマ療法にだけはくれぐれもご注意ください)
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。