社員研修の一環として、広島県北の北広島町にある聖湖(ひじりこ)で、SUP(サップ)とカヤックに参加させて頂きましたので簡単にレポートします。
大きな寒暖差と燃える紅葉
聖湖のある八幡エリアは極寒です。日本海からの寒気がたまるスポットのようで、例年この界隈だけピンポイントに北海道並みの低温と積雪を記録しています。
この日(11/5)は明け方にマイナス4度まで冷え込んだらしく、一方で10時頃には15度くらいまで暖まっており、この寒暖差が燃えるような紅葉を生み出しているのだと理解できます。
カヤックとカヌーは何が違うか?
なんとなく乗り物が違うように感じますが、実際には漕ぐ道具(パドルの種類)が違うのだそうです。パドルの両はしで漕ぐのがカヤック、片方で漕ぐのがカヌー。私はSUPなので関係ありませんでしたが..。
SUPは、スタンドアップパドルボードというのが正式名称らしいです。波の穏やかな瀬戸内+川の多い広島では知名度も高いのですが、全国ではどれくらい普及しているのでしょうか??
個人的には世捨て人みたいなSUPの雰囲気/世界観が好きです。
紅葉とダム湖
読むよりも見るが早しという事で、ぽんぽんと写真を掲載していきます。
この辺りは天然のブナやナラ、ミズナラなどがひしめき合っており、まるで着色したブロッコリーのように、しかし同じ色が続かず綺麗にまだらになっている点は特筆すべきです。
本来の山林は、同じ種類の樹木でべったり1色という事はほぼなく、この燃える広葉樹林は人工林のベタ1色とは正反対の豊かさだと感じます。
全国的に鹿の激増が問題となっている中、この界隈および下流の安芸太田町あたりまで、鹿はほとんどいません。
代わりに猪とツキノワグマが多く生息します。
ツキノワグマは人類にとっては脅威ですが、猪とともに豊かな山の象徴であり、広葉樹林が豊富なところにしかいません。そういうところは川も豊かで、必然的に海にもその恩恵が流れ込みます
九州でツキノワグマが絶滅した理由は不明とされていますが、林業をやりすぎたのが原因なのは明白でしょう。
人工林について考える
杉や檜は果実をつけないので、野生動物にとっては旨味がありません。防虫作用があって虫もつきにくいので、鳥や魚にとっても旨味がありません。落葉せず、また落ちたとしても脂分が多く分解まで時間がかかるので、土壌にとってもメリットが大きくありません。
落葉樹の落ち葉からなるふかふかの土壌が栄養分を土へ、そして河川へ注ぎ込むことと比べると、その点における針葉樹林の役割は粗末なものです。
ツキノワグマやイノシシは針葉樹林から得られる恩恵がなく、他の土地に移動するでしょう。鹿は下草のクマザサと木の皮で生き延びられる上、暗い針葉樹林は通路としても活用でき、結果として生存に有利な要因となっています。
低い標高においては本来少数派の存在であるはずの杉や檜を、狂ったように一面に植え続けた先人たちの暴挙の結果として、現在のおかしな山林生態系にが出来上がっているとも評せます。
ダムと電力
2020年の夏前、この下流の豊かな地域に、突如日本最大級の風力発電施設の建設計画が登場しました。
登場した時点で既に土地の売却などは終わっており、一部の関係者や地主たち(=多くは町有林だった..)の間で話が進んだのだと思います。ここの町長(当時)は地元の国会議員の選挙に絡み現金を受け取った事が発覚してスパーンと辞職した老獪者ですが、そのあたりは割愛します。
で、風力発電の建設エリアはツキノワグマやクマタカなどの保護生物が生息するエリアで、「なぜそこに??」という疑問が拭きれません。
一方で、じゃあどこにするのか? 風力やめて新たにダムを作るか? 太陽光パネル敷き詰めるか? 引き続き火力でCO2出し続けるか? いや、さらに原発作るか?
ここに答えを出せる人はいません。
ただ、人口が減り、省力化も進んで電力需要も減り続ける中で、なぜ新たに巨大電源が必要なのかについては依然不明なままです。安全保障上の理由もあるはずですが、それより前に利権の方が大きいような感触がして居心地はよくないです。
新たな電源を確保した暁には、老朽化したダムや原発の撤去がなされるのであれば、それは有益な事なのですが..
ちなみに中型ダムの撤去費用として7億円程度という試算がありました。そのダムが必要なくなった時のためにも、7億出せる逸材を目指します。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。