鹿肉は、猪に比べて、一頭あたりで取れる肉部分が少ない為、部位展開が少ない印象がありますが、大きい個体の多い産地では(北海道の蝦夷鹿など)色々な部位の販売が行われています。
鹿の部位について
鹿肉の販売でスタンダードな部位
・鹿ロース肉 ロースは鹿肉の代表的な部位。脂がたっぷり乗った猪のロースとは対照的に、赤身の純度が高く、柔らかさを堪能できます。
人によって「高級和牛に近い」とか「鯨っぽい」、「マグロやカツオみたい」など、多種多様な感想が語られるように、普段の食生活では出会えない独特の食感と風味があります。
・鹿モモ肉 天然育ちの野山の急勾配を駆け上がるしなやかな筋肉をそのまま味わえるのが醍醐味です。
ロースに比べると脂身が少なく、とても淡白であっさりした部位ですが、それだけに何の料理でも合わせやすい汎用性の高さが魅力です。
部位としては、さらに外モモ、内モモ、シンタマ、ランプに分けることができます。成分として疲労回復に効果の有るバレニン(イミダペプチドの一つ)が多く含有されるとの研究結果もあり、アスリート色の強い部位とも言えます。
・鹿ヒレ肉 鹿肉全般が赤身で、マグロやクジラのような不思議な味わいがありますが、ヒレ肉はその特徴を凝縮させたような部位だと言えます。
とても柔らかく、かつ鉄分を凝縮させたような風味は独特で、ステーキにするには最適。どちらかというと女性から好まれそうな部位です。
とれる量が少ないため、比較的レアな部位の一つです。
・鹿スネ肉 鹿肉の中で最も単価が安く、在庫も安定しています。筋肉の塊のような部位で、そのまま焼いて食べるのにはカタすぎるのですが、低温(60-64度くらい)でコトコトと長時間煮込むとコラーゲンが溶け出してとても柔らかくなります。
コラーゲンといえば、スネ肉です!
鹿肉の販売で希少(レア)な部位
・鹿バラ肉 肋(アバラ)周りのお肉のこと。猪においてはバラ肉は王道の部位ですが、鹿の場合は肉付きが悪く、あまり出荷されない傾向があります。
バラ肉とはいえ脂身もそんなになく、比較的歯ごたえが強いので、骨付きのまま煮物だったり、低温でローストすると柔らかく仕上がります。
・鹿クビ肉 鹿のクビ肉というと脂身が少ないので硬い!という印象がありますが、”硬い”というより、歯ごたえがあって噛めば噛むほど味わい深い部位といった方が適切かもしれません。時間をかけて、柔らかく、味わい深く調理する煮込み料理やコンフィ、ハムなどにとても適しています。薄くスライスにして焼くとコリコリした砂ズリに似た食感を楽しむことができ、じっくり中まで火を通す、コンフィなどだと柔らかな食感になるなど、調理方によって肉質の柔らかさも変わってくる部位です。
・鹿タン 一頭につき一つしか取れない希少部位です。鹿肉の中でも霜降りの部位といえる鹿タンは、根強いファンが多くなかなか出回りません。
・鹿レバー 鹿の肝臓です。鶏レバーよりもさらに張りのあるぷるっとした印象です。新鮮なものは臭みはほとんどありません。産地によっては条例により販売が禁止されているところもあって、出荷できる産地が少ないためこちらも希少な部位。鶏レバーなどと同じような調理法で美味しくいただけます。
・鹿ハツ 鹿の心臓です。一頭に1塊しか取れないのでこちらも希少な部位です。血管の一番多い部位になるので、他の部位よりやや臭みが強い傾向がありますが、そこも含めてハツの美味しさとも言えます。牛などのハツと同じようにうす切りにして焼肉や、湯がいて擦り潰してレバーペーストなどに使われます。
・鹿アキレス腱 こちらは、煮込み料理に最適な部位です。商品化されている産地が少ないので希少です。じっくり煮込むと腱に含まれるコラーゲンが溶けだし、トロトロになります。牛よりもざっくりした歯ごたえとねっとり感を感じられる部位です。
鹿一頭から取れる食肉の割合
鹿一頭2小さい個体で20kgで大きい個体だと60kgくらいありますが、解体すると肉の部分が1/3・内臓が1/3・骨や腱が1/3といった割合です。
内臓や腱の部分は、まだまだ出回っている数は少なく産地によっては廃棄してしまっているところもあったりするのだとか・・・。とても美味しいので、それが周知され需要が高まれば、出回る量もおのずと増えてくるのでは?と考えています。
頂いた命を、なるべく捨てずに美味しく頂くことができるといいですね。
やっぱり自然と猫が好き。