広島県で最も過疎が進む自治体、安芸太田町(2017年時点で人口6,585人)の山間部でおこおなわれた民間の小規模アウトドアイベント「野営の人 Vol.3」にジビエ食材を提供させていただきました。
この日は開始直前まで雨が降っていましたが、日が暮れてからようやく雨脚がおさまったために無事開催となりました。この時の食材は猪肩肉スライスと鹿のバラ肉ブロック。
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以下、気になるジビエアウトドアイベントについて報告します。
目次
野営の人Vol.3
雨が上がり、無事着火を終えた頃、山間部ではフクロウが鳴き始めます。そして網の上には猪の肩肉スライスが登場しました。猪肩肉は多くの産地で出荷されているため、特に珍しいものではありません。ただ、ロースやバラに比べるとマイナーな印象があり、わざわざ肩肉を選ぶ理由が見当たらないという人も多いはず。では、猪肩肉のポイントとは何なのでしょうか?
猪肩肉は美味しいか?わざわざそれを選ぶ理由
猪肩肉の特徴、それは脂身の違い。
猪肩肉はロースやバラと違って分厚い脂身がなく、こってり感が抑えられた部位。一方でモモとは異なり筋肉の間に適度な脂肪分が混じっており、お肉のきめ細かさと旨味がしっかりしているのが特徴です(モモのように淡白ではない)。猪の部位の中では肩ロースが一番美味しいという猟師さんも多いほどです。猪においては肩と肩ロースは厳密な部位わけがされていない事が多く、今回提供したものも肩〜肩ロースという位置づけでした。現在整備され始めている解体ガイドラインにおいては、30kg以上の個体では肩と肩ロースは別部位として扱うよう将来に向けた方向で統一が進んでいるようです。
BBQなどの炭火焼においては、ロースやバラだと大炎上して食べる部分が減ってしまうこともあり、盛り上がる一方で疲れる側面もあるため、今回は肩肉が選ばれたという背景があります。
鹿のバラ肉は美味しいか?その用途は?
今回提供させていただいたもう一つのジビエ食材は鹿のバラ肉。これは結構珍しい部位で、本州ではあまりお目にかかれないもの。と言うのも、鹿はもともとスリムな生き物で一頭からとれるお肉は多くありません。中でもバラ肉は脂が乗っていない上、量も多く取れないので商品として活用されず出荷に至らない産地が大半です。猪と鹿の体系を見比べてもその意味がよくわかるかと思いますが、今回はそんな鹿のバラ肉をあえてチョイスしてみました。
頂いた感想は「最初は柔らかくて、でも少しかたい。それなりに脂が乗っていてでも脂っぽくなくてヘルシー。不思議な感じ」と言うもの。筋肉がしまって赤身主体の鹿肉においては曖昧なポジションの部位だと言えます。ではどうするのか?ここで登場したのがアヒージョです。
鹿肉のアヒージョ
アヒージョはオリーブオイルにガーリックを加えたスペイン料理で「にんにく煮」という意味なのだとか。スペインだとガンバス・アル・アヒーヨ(エビのガーリック焼き)が有名ですが、特に何を煮焼きしても成立するようです。このアヒージョ用のフライパンが網の端っこの方で加熱されていたのですが、このオイルに鹿バラを浸して食べると大化けしました。柔らか過ぎない鹿バラの食感がオリーブ&ガーリックと非常に合い 、オンリーワンな食感/風味でとてもリッチな気分になります。
アウトドアは非日常を楽しむ時間でもありますが、こういう一風変わった組み合わせがちょとした起伏となって時間に厚み加えてくれます。
山間部での野営とマインドフルネス
日没後、山間部では音がしません。あたりに光源が無いので視界は閉ざされ、聞こえるのは川のせせらぎと虫やフクロウの声、そして薪がはぜる音のみ。目に入るのは燃え盛る炎のみで、思考停止に近い状態になります。
これはやったことがある人は分かるかもしれませんが今流行りの「瞑想」似た心持ちで、すなわちマインドフルネス。心身のリセットにつながり、日常のモヤモヤが吹き飛んで、ビジネス面においてはパフォーマンスが向上するとされています。元々人間のメンタルはポジティブ穏やかにできているらしく、リセットされることでその状態が復元されるのだそうです。
ジビエBBQとイベントでのジビエ仕入れ
Foremaでは、ジビエBBQをはじめとするアウトドアはもちろん、インドアのパーティやお料理会などの各種イベントにおけるジビエ食材の調達から提供も承っています。ある程度以上の規模であれば業務用価格での対応も応相談ですので、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。