ペット用ジビエの定期便について

Foremaでは、業界初かもしれないジビエの定期便、通称ペットさん定期便を始めました。これは読んで字のごとく、ペット用のジビエ食材が毎月届くというサービスで、今の時点で大規模に展開している事業者は国内では弊社以外は無さそうな勢いです。

ペットのための宅配ジビエ「ペットさん定期便」

ペットさん定期便 サービス概要

ペット鹿切り落としB品
ペット鹿切り落としB品。この写真のものは「人間が食べても問題ないが、ベストではないため人用に出荷されていない」もの。

ペットさん定期便は、月額2,980円でペット用のジビエ(鹿肉or猪肉)が冷凍で届きます。全て国産で、内容量は(1.8〜2.0kg)。猪が届くか、鹿が届くかは季節や産地によって異なります。内容や産地の指定はできません。内容量が固定ではないのは、産地や季節によって価格が変動するためです。2,980円以外には送料と消費税が別途発生します。

毎月中旬頃発送され、月末頃に後払いようの請求書が発送されます。この請求書はコンビニでも銀行でも使用可能です。

ペット用のお肉と人間用の違い

ペット用ジビエ
ペット用ジビエ。これは猪の「スネや肩など切り落とし混合」「うでブロック」「うでカット」「すねカット」「廃棄品(血が回っている)」の5種。

一般的に質問が多いのは「人間でも食べられるのか?」という事。結論から言えば食べられます。実際に私たちも食べてみました。普通に美味しかったです。

ペットさん定期便用の猪肉を試食しました。

ではペット用のジビエとは何なのか?人間用とは何が違うのでしょうか?

ペット用の定義というのは実はかなり曖昧で、一般的には下記のようなものがペット用に回ります。

  • スライスにした残りの切れ端
  • 年寄りだったり痩せていたり硬かったり、あまり質が良くないもの
  • 捕獲の際に暴れたなどで肉に血が回っているもの(=質が落ちる/ニオイの元になる)
  • 捕獲の際に暴れたなどで打撲や打ち身があるもの衛生基準としては人間が食べても問題ないもので、ただ「最善ではない」とか「人には出せない」という判断でペット用に回っているのが実情です。とはいえ、その判断基準が産地ごとに違うので、他の産地のものだと「ペット用は不味い」というケースもあるかもしれません。

ちなみに、今回試食したのは、猪の「スネや肩など切り落とし混合」、「うでブロック」、「うでカット」、「すねカット」、「廃棄品(血が回っている)」の5パターン。

「廃棄品(血が回っている)」は、触った時点で普通のお肉よりもヌルっとしています。このまま冷凍したとしても良くない結果になるだろうと思いました。が、実際に試食する際は洗って使用し、そうすると結果的にはマイナス部分が払拭されたように感じました。このあたりが廃棄品(つまりペット用途)となる大きな理由です。

ペット用ジビエに需要はあるか?

ドッグガムを加える中型犬。
ドッグガムをくわえる中型犬。これはLサイズ

需要と背景について

結論から言えばあります。というよりも、これまでペットの需要しかなかったというのが実態かもしれません。

それを知った上で、弊社ではBtoCのECサイト「Forema」やBtoBのプラットフォーム「Forema Pro」を通じて人間用の消費を増やし、山間部の単価向上につとめて来ました。が、その過程でわかって来たのは害獣駆除で発生した国産ジビエは「人間の消費だけではとうてい消費しきれない」という事。つまり捨てられる命が削減できないという事です。

さらに言うと、産地側は消費者に気を使いすぎ、少しでも質が落ちると出荷をためらう傾向が強く、結果として食べられるものが廃棄に回っているという側面も大きくあります。

そんなお肉をペットフード業者さんが大量購入して活用していると言う事例はありましたが、逆に言えばそれしか事例がなく、かつ単価がかなり低かったと言う実情があります。そこで登場したのが弊社の「ペットさん定期便」という流れです。

大型犬はすでにジビエ生活を始めている

大型犬愛好家を中心に、すでに国内でもペット用ジビエは普及し始めています。なぜ大型犬なのかと言うと、もともと猟犬の血筋が強かったという事情もありますが、飼い主に富裕層が多いからという背景が大きそうです。

富裕層が主に鹿肉をペットに与える事で「老犬が復活した」「毛並みがすごく良くなった」「幼犬の体づくりにすごくいい」といった実績が蓄積されていき、愛犬家の間ではペット=鹿肉という図式が出来上がりつつ有ります。

もちろん鹿肉だけでなく、猪肉でも有用なのですが、(自然界における)アレルギー物質が最も少ないお肉と言う事で鹿肉が先に普及し、そのままステレオタイプのイメージで「ペット用ジビエ=鹿」となり今にいたっているようです。

鹿か猪か?加熱か生肉か?

安芸高田の鹿 B品
ペット用の鹿肉を加熱したところ。人間が食べても遜色ないレベル。

ペットに鹿や猪を与える際、生肉はやめた方がいいという声と、絶対生肉だ!という声があります。前者は一般論として言われるものである一方、後者は現場の声、といった印象が強いと感じます。栄養的には加熱しない方が良く、また犬も生肉を大いに好むのだそうです。(犬種や個体差はあります)

一般的な飼い犬は生肉に慣れていないため、最初は少しずつ与えていくのですが、慣れていくに従って食べる量も増え、おなかの調子を崩す事もなくなり、体調も毛並みも良くなっていきます。このあたりは私が実際に見たのではなく(今は犬を飼っていないので)、周辺の複数経験者から聞いた話です。Webで調べた経験談と、実際に周囲の経験者・関係者に聞いた内容が一致しているので、ここは概ね間違い無いのだろうと思います。

鹿か猪かについては、犬の好みもあるので「合う方で」としか言えませんが、合う場合はどちらでも高評価です。ただ、猪の場合は少し留意した方がいい点もあります。それは鹿に比べると菌や寄生虫の保有率が高いという点。厳密には猪が高いのではなく、鹿が低いというものですが。もちろん鹿もゼロでは有りません。

とは言え、寄生虫は業務用冷凍(-18度以下)を生き延びません。が、100%死滅するとは断言できないので、その点を留意して生肉にするかどうかを判断するのが良いかと思います。この辺りはかかりつけの獣医さんと相談しながらというのが安全なのでは無いかと思います。

なぜやるのか?

島根県の浜田誌奥部にて。
島根県の浜田誌奥部にて。このあたりは鹿・猪・ツキノワグマ・アナグマなど野生動物の宝庫。

最後に、Foremaではこれまでやってこなかったペット向けサービスを、あえて今開始した理由を書きます。それは先にも少し触れましたが、人間だけの需要では害獣のお肉を活用仕切れないから。

また、人間の需要が増えたとしても、例えば捕獲時の「打ち身」や興奮して「血が回った」個体のお肉は今後も出荷されずに廃棄されていきます。つまり人間用というハードルが消費の幅を狭めているという実情があります。このハードルが強固なフィルターとなり、お肉を「高級食材かゴミか」の真っ二つな領域に分断しています。

もちろん人間用に松竹梅を分けられれば良いのですが、人間界の国産ジビエ市場はそこまでまだ成熟していません。一方のペット市場は大いに盛り上がっており、かつての「犬にでも食わせておけ」みたいな価値観はほぼ消滅したと言えます。巷では「旦那よりも犬にたくさんお金をかけている」という話もあるくらいで、とくに子供のいない(もしくは子育てが終わった)夫婦や独身者が、子供の代わりにペットに愛情とお金を注いでいるという実態があります。

よってペット用市場の成熟というのは、人間用市場の成熟と紙一重のところにあるのかもしれません。

理由はどうあれ、「ペットさん定期便」によってロス(=捨てられる命)が削減できる事は有益で有り、弊社が目指す方向と一致しています。さらには産地の外貨獲得や雇用の維持・創出にもつながり、山間部に人間が住み続ける足がかりともなり得ます。

弊社が将来的に目指しているのはジビエの消費そのものではなく国内生態系の回復と保全で有り、結果として自然界と人間界の紛争が緩和される事を目標としています。長期的には「増えすぎた人工林の削減」や「頂点捕食者不在の問題」に切り込んでいければと考えています。

そういう事なので「ペットさん定期便」をよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です