原因は食事?それともダニ? 犬と猫のアレルギー検査について

公開日:2021/10/08

最近では、環境衛生の向上から、犬や猫などのペットにおいても、アレルギーになってしまう子が増えてきました。

そのため、痒みや脱毛、くしゃみや下痢・嘔吐などのアレルギー症状に対して、様々な検査や治療を行う必要があります。

この記事では、犬や猫のアレルギーの検査方法や人間のアレルギー検査との違いなどを解説しています。

愛犬・愛猫のアレルギーについて疑問や不安がある方は、ぜひ読んでみてください。

動物病院におけるアレルギー検査方法

アレルギーを診断していくためには、アレルギー以外の原因がないかどうかを見極める必要があります。

なぜなら、感染症(ノミやダニ、細菌や真菌など)やホルモンの異常、心因的な問題でもかゆみや脱毛などアレルギーに似たような症状が出るからです。

また、アレルギーにおいては、下痢や嘔吐などの消化器症状が出ることもあり、これの鑑別も必要となります。

これら『アレルギー以外の原因』を問診や血液検査、画像検査などで除外したのち、『何に対してアレルギーを示しているのか?』をしっかりと診断していくことが重要となります。

 

その際に、飼い主さんからの稟告も大切となってきます。

つまり、

  • どういった環境で飼育しているのか?(完全室内飼い?)
  • 同居の動物はいるのか?
  • 食事の変更はあるのか?
  • どういったタイミングで症状が出るのか?
  • 食事内容
  • 年齢
  • 季節性の有無

といったことです。

動物が示すアレルギー症状の原因が、「食事なのか?」「ノミやダニ、ハウスダストなど外部の環境なのか?」といったことを推測することで、続くアレルギー検査の種類選択が決定します。

動物病院におけるアレルギー検査方法には、

  • 除去食試験と食物負荷試験
  • 血液検査(IgE検査、リンパ球反応検査)
  • 皮内反応試験

があります。

以下で分けて説明していきますね。

除去食試験と食物負荷試験

食物アレルギーを疑う場合にまず行う検査が、除去食試験です。

除去食試験とは、アレルゲンを除去(低減)した食事や、今まで食べたことのない食事(新奇タンパク質)を与えることで、その症状が緩和されるのかをみていく試験方法です。

アレルギーの大部分はタンパク質由来の原料によって生じるため、除去食には通常の食事には含まれていないような原料、例えば、

  • 鹿肉
  • 鴨肉
  • イノシシ肉
  • カンガルー肉
  • タピオカ

といっためずらしいタンパク質が使用されています。

除去食試験後に皮膚の症状が改善した場合は、食材を少しずつ加えていくことで、症状が出る食材を探していきます。

これを食物負荷試験と言います。

原因食物が確定できたら、その食材を避けたり、安全に摂取できる量を決定していくようになります。

血液検査(IgE検査、リンパ球反応検査)

食物アレルギーではなかった場合には、血清中抗原特異的IgE検査やリンパ球反応検査、また以下でお伝えする皮内反応試験によって原因となるアレルゲンをみつけていきます。

犬においては比較的ルーチンに行う検査ではありますが、猫においてはあまり行われません。

なぜなら、猫においてのアレルギー検査は、精度や測定可能なアレルゲンの種類に限界があるためです。

IgE検査

アレルギーを診断する際によく行われる検査が、血清中抗原特異的IgE検査となります。

この検査は、血液検査にて抗体の量を調べる検査で、IgEが上昇するタイプのアレルギーであるⅠ型アレルギーやアトピーなどを対象としています。

  • ダニやカビ
  • イネ科植物
  • キク科植物およびその他の雑草
  • 樹木
  • 昆虫
  • 周辺環境アレルゲン(猫の皮膚・ふけ、穀物粉塵など)

といった環境中のアレルゲンを血液検査にて特定することが可能です。

また、抗体の量や強さを知ることもできます。

リンパ球反応検査

IgEの上昇が顕著にみられないタイプのアレルギーであるⅡ、Ⅲ、Ⅳ型アレルギーが多く関与しているものの検出に行います。

食物アレルギーを診断する際に利用されることが多く、検出できる食材は検査センターによって異なります(以下)。

こちらも血液検査にて診断をすることが可能です。

皮内反応試験

皮内反応試験とは、アレルゲンを少量注射して、皮膚の反応をみる検査方法です。

注射部位が腫れた場合にはアレルギー反応が起きていることが分かり、アレルゲンの特定が可能です。

ただし、強くかゆみや炎症をともなったり、試薬の入手が困難であることも多く、行っている動物病院は限られています。

人も人間も、増え続けるアレルギー。原因はアレルゲンと呼ばれるタンパク質であるとされており、対策として低アレルゲンの食事に切り替える方法が一般化していま

アレルギー検査ができる項目

アレルギー検査ができる項目については、検査機関ごとに異なります。

IgE検査にて分かる項目は、ダニやハウスダスト、花粉などの主に環境のアレルゲンについてでしたね。

一方で、上述のリンパ球反応検査にて分かる項目として、

  • 牛肉
  • 豚肉
  • 鶏肉
  • 卵白
  • 卵黄
  • 牛乳
  • 小麦
  • 大豆
  • トウモロコシ
  • 羊肉
  • 馬肉
  • 七面鳥
  • アヒル
  • サケ
  • タラ
  • エンドウ豆
  • ジャガイモ

といった食物があります。

直接調べることのできない食材(例えば鹿やイノシシなど)においては、除去食試験と食物負荷試験を行うことでアレルギーが起きるのかどうかをみて行くようになります。

人間のアレルギー検査との違い

人間におけるアレルギー検査は、動物とは違って検出できる種類がとても豊富なことです。

ひとえに『穀類』といっても、

  • そば
  • ライムギ
  • 大麦
  • オートムギ
  • とうもろこし
  • キビ
  • アワ
  • ヒエ
  • 麦芽

…といった多くの項目の検出が可能です。

基本的には、動物と同様に血液検査で行いますが、パッチテストも比較的よく行われる検査法です。

パッチテストにおいては、かぶれなどの遅発型アレルギーの原因を調べることができ、金属や医薬品、香料やゴム製品などのアレルギーの検出を行うことが可能です。

人におけるアレルギー検査は比較的費用も安く、助成金を使えば無料で行える場合もあります。

動物においては保険対象とならない場合もあり、検査によっては数万円ほどの費用がかかることもあります。

小麦
2012年のカナダでの話。二十歳の女性がボーイフレンドとキスをした直後に死亡するという事故がありました。原因は、男性が数時間前に食べたピーナッツバター

【まとめ】動物病院でのアレルギー検査について

動物病院でのアレルギー検査は、症状や稟告と合わせて、

  • 除去食試験と食物負荷試験
  • 血液検査(IgE検査、リンパ球反応検査)
  • 皮内反応試験

などを行うようになります。

最近ではアレルギー症状でお悩みのワンちゃん・ネコちゃんが増えてきています。

検査をしっかり行うことと同時に、お掃除やブラッシングなどでアレルゲンを取り除いてあげることも大切ですね。

参考資料

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