ペット用に売り出している鹿・猪の骨でスープを作りましたので、その全貌をご紹介します。骨って何に使うの?って気になっている人たちの参考になれば幸いです。
目次
ペット用の骨とは何か?
Foremaではペット用に鹿の骨、猪の骨を販売しています。骨の用途は、基本的にはわんこが生でバリボリ食べるため。自然界では骨も貴重な栄養源として食されており、生食や手作り食を導入している先進的なペットオーナーさんたちの間で以前から細々と需要がありました。この頃ではそうした食生活の情報がSNSなどで拡散されたためか一般のオーナーさん達にも認知され始め、骨需要が少しずつ増えている状況です。
では、ペット用の骨の定義とは?
実は、Foremaから出しているお肉については、ペット用と人間用で違いはありません。定期便で扱っているものも同様です。つまり飲食店で出汁を取る用に仕入れられている骨とペット用に発送されているものは同じもの。ヒューマングレードとはこの事です。
関連商品: 鹿のボーンブロス 愛犬/愛猫用
- 内容:1kg目安
- 種類:ホンシュウジカ / キュウシュウジカ / エゾシカ
- 産地:西日本/九州各県/四国各県/長野県/北海道
- 部位:混合
骨のスープの手順
さて、骨のスープの手順です。スープにすることで、骨を生でバリボリできない小型犬でも骨を活用できる上、療養中の犬にも栄養素たっぷりの飲料として活用できるメリットがあります。そして何より、とても美味しいです。
骨を用意
鹿の骨/猪の骨を用意します。出汁を取るには大腿骨、もしくは背骨がいいですね。大腿骨は猪の方が短いので、家庭用のお鍋では特に便利かと思います。
アバラに関してはあってもなくてもいいかと思いますが、今回は絵的に、また在庫的に無理やり使用する流れとなりました。
ご購入はもちろんForemaでお願いします。
骨を切る
骨の旨味は骨髄に凝縮されています。骨髄が溶け出しやすくするために、また鍋に入りやすくするために骨を断裁します。調理用ノコギリを使用しますが、なければ1000円以内の糸鋸みたいなのでも代用できます。このとき、冷凍のままの方が歯が入りやすくカットしやすいです。
本当はゲンコツの部分がカットできるといいのですが、無理ならばまずは半分にカットできればよしとします。
鍋に入れストーブにかける
深め、大きめの鍋に入れます。今回はフォトジェニックなアウトドア用のダッチオーブンを使用しました。
このダッチオーブンは鹿スネを煮込む際にも活躍した神アイテムで、放置しておけばそれなりに”いい感じ”に仕上がる便利品。メーカーはキャプテンスタッグで5000円以内で購入できるのでオススメです。
骨が浸り切るまで水を入れ、ストーブにかけます。ストーブでなくてもいいのですが、割と長期戦になるのでストーブ熱の再利用がエコロジーではないかと思っています。加湿が風邪のウイルス増殖も抑止するので一石三鳥ですね。
煮込む。ひたすら煮込む
あとはひたすら煮込みます。ストーブは弱火がいいです。
骨をカットしておくと骨髄の流出が早いので、1時間もすれば透明なゼラチンがタプタプし始め、一方で黄濁したドロドロもどんどん溜まり始めてとても”いい絵”になり始めます。
2時間くらいでお湯が半分くらいになるので随時足していきます。忘れると焦げるので適切に面倒を見てあげる気配りを。
味見して足し湯
2,3回足し湯して煮立った後、一度火を落として味見してみるのがいいです。この時点で軽めの豚骨ラーメンそのまんまのスープになっているはずです(鹿と猪の比率で違いはあるかとは思います)。すごくヘルシーな質感で、ここで完成としても良いかもしれません。ちなみにこれを冷ますと表面が真っ白にかたまりコラーゲンボールが出現します。
関連商品: 老犬や老猫に 猪のボーンブロス
2日目、3日目へ
初日に煮込んだものに再び火を入れます。煮立ってきたら足し湯。これを繰り返していると骨が少しずつ砕け始め、液体のドロドロ感が増してきます。この辺りは火加減によるところが大きいのですが、余裕があれば3日目、4日目まで試して見てほしいです。そして味見をしながらプロセスを楽しんでみてください。
ペット用途としては、どの段階のスープがもっともわんこウケがいいのか、それに合わせて煮込む日数を決めておくといいかもしれませんね。
類似バリエーションとして、大腿骨バージョンもレシピコーナーにも記載しましたのでご参照ください。(一部写真を共用しています)
https://blog.fore-ma.com/?recipe=鹿・猪の大腿骨スープ
骨の背景について
昨今のジビエブームで、鹿や猪のお肉を取り扱う飲食店は少しずつ増えてきました。一方で、骨は一部のラーメン屋さんやシェフが細々と活用する程度でなかかな販路が開けていません。となると安く入荷できそうなものですが、骨はかさばるので輸送の段ボールも大きくなり、結果的に送料がかなりかさみます。冷凍なのでなおさらです。
仕入れた後も保管場所を取る上、お肉のような主役にはなり得ないので保管コストが割に合わないのは否めません。つまり商品として不利なのが骨というわけです。
そんな骨を有益な食材として喜んで評価してくれるのは下の肥えた一部の美食家と、そういうハイエンドを固定客とする一部シェフ、そして骨大好きのワンコたち(大型犬が多い)です。
鉄骨という言葉がありますが、一般人にとっては、骨はただ体を支えるための支柱というイメージが先行してしまいます。が、実際には骨は血液を造成する重要な器官であり、それは(栄養として・旨味として)骨髄に凝縮されています。この有益な部位を大型犬だけでなく、小型犬にも活用してもらうには、骨の煮込みはとても有益だと感じています。
圧力釜を使えば比較的短時間で骨もほろほろになっていくので、持っている人は是非お試しください。
骨商品のご紹介
最後に、骨のラインナップのご紹介です。
今回はミックスで試しましたが、部位ごとに特性を把握し、使い分けを極めるのもよいですね。
鹿背骨
お肉も残した鹿の背骨。大型犬に喜ばれますが、圧力鍋で煮込めば小型犬にも。骨周りのお肉の美味しさは格別です。
https://fore-ma.com/products/171
鹿アバラ骨
鹿骨の中の王道アイテム、アバラ。他の骨と違って小型犬にもやさしいのがアバラ骨の良いところ。生だと柔らか。加熱する場合は圧力鍋でホロホロにしてあげてください。
https://fore-ma.com/products/162
鹿大腿骨
大腿骨は硬くて大型犬用途。小型犬の場合はコトコト煮込んでスープにしてあげてください。大腿骨のダシは最良で、アバラ骨では再現できない濃厚でトロトロのコラーゲン天国。時間がない場合は圧力鍋で時短を。ただ大きいので入るかどうか..
https://fore-ma.com/products/161
猪背骨
背骨は何に使っていいかわからない人も多いかもしれません。煮込めば大腿骨と並んで良いダシが取れます。乾燥機でジャーキー加工しても良い品に生まれ変わります。
https://fore-ma.com/products/173
猪大腿骨
不定期で入荷する、力強い猪の大腿骨。ゴツいです。ダシを取らせたら右に出る品は無いかもしれません。ゲンコツ部分が砕けるまで数時間煮込む必要がありますが、圧力鍋だと1,2時間で砕けます。
https://fore-ma.com/products/174
猪のボーンブロス
猪の骨をコトコト煮込んで濃厚なスープを作りました。骨の力がここまでとは!と驚く逸品。寒い季節などは生命力そのものを感じることができるはずです。
https://fore-ma.com/products/367
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。