機が熟したのでバベキュー肉、BBQ肉について語ります。結論から申し上げますと、牛はエコじゃない。いくら美味しくても、全体の3割程度で我慢しておくべきだと考えます。
じゃあどうするのか?
鹿と猪しかありません。しかも国産!
そういう流れで、私が愛したバーベキュー肉についてご紹介するとともに持論を展開していこうと思います。
目次
BBQ肉-鹿の場合
鹿のシンタマ
以前から何度か紹介しているこれ。原始人のお肉そのものにして誰もが唸る本能揺さぶり系の食。
シンタマというのは外モモと内モモのジョイント部分のようなところで、ひとくくりにモモ肉として扱われることも。見た目が丸くて美しいので魅せたい系のステーキやローストに向いていますが、アウトドアやBBQで使用するならこのスタイルで。
シンタマとしての流通量は多くない一方で、単価はむしろ低め。単にマイナーな部位だからだと思います。
鹿の骨つきロース
鹿といえばロース。背ロースという呼び名の方が正しいという説も。これだけ見ると強火でガシガシ焼きたくなりますが、鹿肉は高温加熱だと固くなるので、弱火の上で20分くらいかけてじっくりと火を通すのが正道。火が強めの場合は数分おきに休ませ、余熱で火を通すというのを2,3回繰り返します。
味付けは軽く岩塩をふりかけ、バターやタレを塗るのが楽ですが、クックパッドを見てステーキソースを作っておくのもオススメ。この一手間が劇的にハッピーな結果を導く事も!?
https://cookpad.com/search/ステーキソース
なお、背骨は包丁ではカットできないので、アウトドア用の手斧でワイルドに攻めるか、無難なのは小型ノコギリ。前者の場合は焼く前に裁断、後者の場合は焼き上がった後にギコギコ。
残念ながらアウトドアシーンでの写真がないので次の機会に撮影したいです。
鹿の骨つきバラ
先に紹介した骨つきロースのおなか側の部位。あばらの根元の方がロースで、先っぽの方がバラという解釈でOK。両者をくっつければ元の形が復元されルわけです。
鹿のバラは、実はそんなにいい部位ではないです。アスリートなので、猪や豚みたいにぼってり脂が乗っているわけではないから。なので食べるところが少なく、そこまで柔らかいわけでもない、普通のお肉だったりします。
その分単価も安く、しかし見た目にはかなり優等生なので、コスパ重視でBBQにアクセントをつけたい場合にオススメです。ロースみたいに休ませたりそこまで気を使う必要もないので、その場のノリで楽しく焼き上げるのが良いでしょう。
(関連記事:スウェディッシュトーチとジビエ 野営の人Vol.5)
鹿ランプ(おしりの部分)
ランプというのはお尻の部分で、広くいえばモモ肉に分類されます。実際モモ肉として出している産地も多いです。というと何となくB級なポジションがにじみますが、実際にはこの鹿ランプ、柔らかくて美味しくて単独で主役のステーキになり得る逸品。
使用方法は以前もご紹介したプランクBBQがオススメ。少々ヘマしても全然ダメージが残らない、楽して美味しく楽しいのがこのスタイル。先に紹介したクックパッドのステーキソースレシピで自家製ソース必須です。
どうしても時間がない場合はセブンイレブンとかで既成の”ステーキしょうゆ”みたいなのを代用してもOK。それはそれで美味しいです。
(関連記事:ジビエでプランクBBQ 鹿肉編)
鹿の骨つきモモ肉
モモはモモでも骨つき。食べてしまえば同じでも、そこに到達するまでのプロセスが異なります。食の体験は視覚によっても増幅されるんですね。
これは直火よりも燻製か、もしくはトライポットで工夫して吊るすと視覚的には劇的な効果があり、キャンプ場であれば周囲の視線だけで加熱しそうです。
吊るした場合、火との距離にもよりますが、遠火で3,4時間じっくり火を通すのもいいですね。大人のゆとり時間。もしくは表面の火が通ったところだけを少しずつ削ぎながら食べていく野人スタイルも推奨もの。
購入ご希望の場合はForemaお問い合わせフォームからご相談ください。
BBQ肉 猪編
猪の骨つきロース (トマホーク風)
牛肉の場合は肩ロースからリブロースあたりに該当する部位。これも原始人の領域です。これを輪切りの要領で裁断していくとトマホークステーキ風に。屋外において、猪でこれをやった事がある一般人はほとんどいないんじゃないでしょうか?いたとしたら、それは一般人とは言いませんw。
さて、背骨なので切り分けるには鹿同様にノコギリが必要です。調理用のノコでもいいのですが、アウトドアなので普通の小型ノコでもOKです(できるだけ歯の目が細かいもの)。そしてギコギコとあばら骨一本単位に切り分けるとあら不思議。骨つきステーキが出来上がり。
この部位は肋骨の根元あたりに位置します。先端の方に向かうと部位はバラ肉となり、バラ肉の骨周りのお肉と骨がセットでスペアリブと呼ばれます。
野営の人Vol.7 冬の山で猪のお肉を焼いている(切っている?)だけの動画です。環境過酷くなれども味は最良なり。
猪の骨つきバラ(スペアリブ)
あばら周りの骨つき肉。背骨周りのロースに比べるとカットしやすく難易度は低め。食べやすいし絵になるので重宝。そして最上級に美味しいのでとてもオススメ。子供たちの思い出にくっきり刻み込まれて大人になっても消えずに残ります。言うなれば墓場まで持っていく終身記憶で、もちろんその前に次の世代(この記事を読んでいる人の孫)にまで継承されるはず。
猪の場合、スペアリブやトマホークは市場に出にくいのですが、それは猟師さんが嫌がるから。これらの形に整形した場合、お肉のロスが結構出てしまうのが理由です。ロスといってもそれらを「切り落とし」として活用すればいいのですが、猟師さんは猪のロースとバラを一番大切にするので、最上の部位を切り落としにしたくない、という心具合です。
ともあれ困ったらこれが一番おすすめ。美味しく楽しい特別な休日へ!
民間のアウトドアイベント「野営の人Vol.8」の一コマ。12月の寒中キャンプでひたすら猪のスペアリブを焼くという、ただただ本能直撃を目指すための動画。深夜に見てはならない類の映像。
猪モモ肉
バーベキューで猪を使用すると、上質の脂によって大炎上する事が多々あります。そうなりにくいのが、格下と思われがちなモモ肉。脂身が少なめなので軽視されがちですが、実際にはあっさりしていて炎上もしにくく、かつ単価も安いという事で縁の下の力持ちのような存在。地味ですがかかせません。
脂ぼってりのロースよりも女性向けという側面もあり、お腹に残りにくい点もヘルシーで好感度高し。
(関連記事:広島でジビエBBQが開催されました)
試しておきたかった逸材たち
試したかったものの、あまりに大物すぎて消化人数が集まらずに試せなかったBBQ肉たち。これらは都内の飲食店などに出荷されていきました。
10キロ前後の猪大型ブロック(肩〜肩ロース付近)
大きすぎ。これくらいの塊になると、お祭りレベルの集まりごとでないと消化し切れません。ちなみにこれは109kgの個体だったとの事です。山の主クラスです。
9キロ近くある猪大型ブロック(ロース/バラ)
これも同じく109kg猪のボディ部分。9kgくらい。これも大人が寄ってたかって20人クラス。先に紹介したトマホークおよびスペアリブは、この塊を背中側とお腹側に切り分けたもの。個体の体格はこちらの方がはるかに上!
おそらく脂がぼたぼた落ちて大炎上する可能性大。上級者向け以外の何者でもなし。
7キロの猪大型ブロック(モモ)
これも109kg個体シリーズ。巨体を支える巨大な脚力がこれ。黒王号です。棍棒のようなサイズ。このお肉のポテンシャルを生かすだけの胆力が私には足りていませんでした。
引き続き精進して参りたいと思いました。
BBQ肉 まとめ
もうお気づきになったかもしれませんが、結局は骨付き至上主義という事。アウトドアでは骨付き肉が最高なんです。と言っても初心者には何となく手が出にくいのも事実。そんなわけで定番のこれをご紹介。
鹿モモ・鹿ロース・猪モモ・猪ロースが250gずつで厚さ5mmの親切設計です。
その他、一般〜ファミリークラスのお肉については下記の記事でそれなりにまとまっていますのでご参照ください。
最後に動画で煽っておきますw
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。