ジビエっぽい珈琲カップ・皿について

Foremaの商品ラインナップに突如登場した「ジビエっぽい皿」。意味不明な感も強いこの商品について、解説の意味も含めて記載します。

商品化の経緯について

ジビエっぽい皿・珈琲カップ ↓↓

https://www.fore-ma.com/products

「ジビエっぽい皿・珈琲カップ」を製作しているのは、広島県安芸高田市の向原にある社会福祉法人の工房。田園地帯の山際にあるとてものどかな場所にあります。

安芸高田の畑
安芸高田の畑。このあたりは一大消費地である広島市の穀倉地帯。

ここはB型就労支援の作業所で、一般雇用の難しい重度心身障害のある人たちが中心となって製作を行っています。陶芸は、特別支援学校でも職業訓練として行われることが多く、この方面の基礎技能を身につけている人は少なくありません。一方で、それらの技能が必要とされる場は少なく、当工房のよう場所は決して多くはないのが現状です。

模様を入れているところ
窯入れ前の陶器に模様を入れているところ。大量生産品との違いは人の手の存在の有無。

私がここを訪れたのは、その数日前に安芸高田市の行政関連施設を訪れたの事がきっかけです。なんとなく獣害の少なそうな広島ですが、その農作物被害額は全国3位。鹿の生息数も中国地方では屈指のものがあります(推定40,000頭)。そしてその鹿の生息エリアの大半がこの安芸高田市に集中しているという背景があります。

そんな安芸高田市の鹿肉を「Foremaのラインナップに載せたいんです!」という打ち合わせ訪問した帰路のこと。温泉施設で購入したお土産や、産直市場で見つけた陶芸品がたまたま当社会福祉法人の作品だったという成り行きです。

ジビエっぽいコーヒーカップ
産直市場で見つけ即買いしたジビエっぽいコーヒーカップ。安芸高田の自然風土との調和を感じた。接写し過ぎてピントが甘い。

私がこの品(具体的にはコーヒーカップ)を見たときの第一印象は

「あ、ジビエっぽい」

というもの。ここで言うジビエとは、いわゆるフレンチの王道ジビエではなく、「日本の里山資源である猪鹿」という意味合いでの国産ジビエの事。年間多くの猪鹿を食し、色々な山間部で多くの話を聞いて来た下地があった上で「なんかジビエっぽい…」と感じたのだから、この感覚は間違いないだろうという事で商品化を決め、生産元である工房に連絡を入れた次第です。

窯に入る前の陶器
窯に入る前の陶器。糸でランダムな文様を刻む。

ここで感じたジビエっぽさというのは、手作りの素朴さや土臭さ、既製品にはない不揃いな感じや郷土を感じさせる風合いなど、要は「産地そのもの」みたいな感覚で、分かる人には分かるかもしれない、という程度の曖昧なものかもしれません。

安芸高田市 向原
安芸高田市の向原町。ここを走る芸備線は鹿との接触による緊急停止が多い。

そんな流れで訪れた安芸高田市の向原町は絵に描いたような田園地帯で、目につくのは山、田んぼ、川。それらの間に民家が点在する地域。このあたりを走っているJR単線の芸備線は鉄道マニアを引き寄せる情緒あるローカル線ですが、鹿との接触で時々停止します。都市部の感覚からは考えられませんが、中には一晩の間に別々の場所で3回鹿に止められた、というような話もあります。

中国新聞の記事
JR芸備線が一晩に3回も鹿と接触し、緊急停車したという記事。活字にすると物々しいが、行間からのどかさを感じる。計70人に影響した。

鹿は電車をよけないのか?と疑問に感じるものですが実際に現場を見ると、鹿からすれば「お前がよけろ」という感覚なのだろうな…、と妙に納得できる、それくらい人と自然の距離が近い地域です。

模様を入れているところ
模様を入れているところ。機械が代替できる部分だからこそ逆に人の手が価値を作る。

さて、ここの工房では、生産量やスピードはのんびりしたものですが、私はむしろそこに素朴さや情緒、つまり抽象的ながら「なんだかジビエと合いそう」という雰囲気が生まれるのだと思います。

粘土で型を作る前の段階
粘土で型を作る前の段階。障害者でも健常者でも、どのみち機械には勝てない。であれば、”ゆっくりで不揃いな方がむしろ楽しい”という価値観があってもいい。

ジビエ流通が進まない背景として、供給の不安定さと規格化難しさが指摘されていますが、むしろその「製品っぽくない点」こそが国産ジビエの味であり、そこは手作りの陶芸品とも通ずるものがあると思っています。

わざわざ商品化した理由

ジビエっぽい珈琲杯
ジビエっぽい珈琲杯。一つは湯飲み。不揃い感が良い風味をかもす。

Foremaはジビエ食材のサイトなので、コーヒーカップやお皿は少しズレたラインナップだと言えなくもありません。それでもあえて商品化しようと思ったのにはちょっとした想いがあります。

以前、企業として県の特別支援学校を視察する機会がありました。そこで生徒たちが作った陶芸のコーヒーカップがバザーで販売されており、とても気に入ったので購入しました。価格は350円だったか..500円もしないくらいの価格で、私は先生に「これは安すぎる。もっと高くても売れる」と伝えたものです。すると先生は「授業で作っているので(文科省の?)規定上利益を出してはいけない。だからこれ以上お金は頂けないんです。」というような事をおっしゃっていました。そしてこの価格帯が、そのまま作業所の商品相場となってしまっているような印象があります。

生徒が作ったコーヒーカップ
広島の特別支援学校の生徒が作ったコーヒーカップ。弊社では応接の際に活躍している。

私は、弊社に来客があった際には、このとき特別支援学校で購入したコーヒーカップを使用することが多いです。そして身近な人に対しては「これ、いくらぐらいに見えますか?」と訪ねたりもします。

人によっては「3,000円くらい?」という人もいれば「これは結構するじゃろ?」という人もいますが、500円くらい?と答えた人は皆無です。これは経済用語で言う消費者余剰であり、数千円の潜在利益が取りこぼされているという事になります。

学校のバザーであれば規定上500円以上の価格がつけられない品も、企業応接(しかも弊社は零細)のシーンでは少なくとも数千円くらいの評価価値が付きます。大企業で美人の社長秘書がコーヒーを入れて対応したならばその価値はさらに高額になるかもしれません(笑)!

工房の棚
工房の棚。窯に入る前の作品が並ぶ。同じ窯、同じ釉薬でも季節によって仕上がりは変わる。このランダム感はジビエ食材と通づるものがある。全ては自然の一部。

つまり、こういう風に、収益機会を損失しているもったいない状況を改善する意味合いでも、Foremaのラインナップに載せ、「なんかジビエっぽい」という極めて主観的で曖昧なブランディングで光を当てた次第です。もちろんこれは慈善的な意味合いだけでなく、Foremaにとっての販促やブランディングにもつながりますし、実際に取引のある地元広島の事なので、地域との関係強化という意味でも弊社にメリットがあったりします。

ささき亭について

元は酒屋だった古民家を改装したカフェ、ささき亭。工房の作品はここでも使われたり展示販売されている。

同福祉法人が運営する寄り合いスペース、いわゆるカフェが、古民家を改装したささき亭。昔から酒屋をやっていた佐々木さんの邸宅で、カフェになる以前のずっと昔からささき亭として地元の人たちに親しまれていたそうです。

https://cafe.hiroshima.jp/sasaki-tei/

ささき亭のランチ
地域の食材を使用した「ささき亭」のランチ。写真の大豆カレーは底に大豆がゴッソリ。

地元の食材を中心としたランチが好評の「ささき亭」。ここでは障がいのある人も就労しており、また工房で作られたカップやお皿も展示・販売されています。また、同じ系列の「縄文アイスのお店」でも陶芸ギャラリーによる展示販売が行われています。

生産者が販売チャンネルを持つことは非常に重要で、これからの社会福祉の一つのモデルになるような一つのエコシステムの様相を感じます。

ともあれ、こういった背景があり、Foremaでは急遽「ジビエっぽい珈琲杯・皿」をリリースした次第です。

商品詳細は下記URLから。

https://www.fore-ma.com/products

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