4月なかば、今年初となる民間のアウトドアイベント「野営の人」に参加してきました。というか今回はソロで開催の運びとなりましたので簡単にレポートします。
今回の野営場所は聖湖の湖畔。厳冬期には北海道並みに冷え込む魔境スポットも、4月も半分くらいになるとようやく桜がほころび始めます。そんな今回の野営においては、ジビエについては一切触れず、星の撮影と一眼カメラ(α7SⅡ)の水没について言及したいと思います。
目次
県内屈指の星空スポット
聖湖というのは広島県奥地にあるダム湖で、県内でも屈指の星空スポット。Sonyの超高感度ミラーレス「α7sⅡ」の能力テストも兼ね、天の川撮影に挑んだ次第です。
技術的なことを書くと、夜間の写真撮影は長時間露光という手法を使います。昼間であればパシャっと降りるシャッター(例: 1/100秒=0.01秒)を、夜は三脚に固定してゆっくりバーーッシャと撮影します(例: 1〜30秒くらい)。これによって暗闇でも光をかき集めて明るく撮影することが可能となり、現実離れした独特の画像が現れます。
アウトドアメーカーのカタログにあるような野営写真はもちろん、夜景や天の川の写真なども長時間露光によって生み出されています。オフシーズンで人の存在も皆無の中、天の川が登るまで闇夜の湖畔で静かに過ごします。
湖に転落/カメラも水没
カメラ水没
さて、本題に入りますが、この日の深夜0時半ごろ、カメラと一緒に湖に落ちました。高額のカメラが水の中で明滅しているのを見た時は強度のハートブレイクでした。(レンズと合わせると50万円くらい)
ちなみに水没時間は5〜8秒ほど。急いで電源を落としたものの、あら不思議。切ったはずのモニターが激しく明滅しています。これは危うい状態で、急いで電池を外します。ここまでで20秒くらい。自らも真っ暗な湖に落ちているので結構バタバタしていたと思います。流血しましたし。
関係ないのですが、この湖は例に漏れず(?)死体遺棄があったり、向かいの山でもやはり死体遺棄(未解決)があったりで、湖からはいあがる途中でそれらを急に思い出すのが人というもの。ジェイソンも一緒に。
が、今はそんな場合ではありません。(と、ここまでが30秒くらい)
水の拭き取り
ここからはカメラのを拭き、蓋類を全て開け水を切るわけですが、上記の写真とは違って実際にはほとんど真っ暗でどうしようもありません。しかも拭いている本人が水没しているので拭き取りの効果は限定的と言うべき。
そういう事で一旦焚き火の近くのテーブルにカメラを置き、人間側の保護を進めます。
焚き火による応急措置..??
火で心を取り戻す
火の鎮静効果は時代を超越するものがあります。心が落ち着くと、ガラケーやスマホで水没から復帰している事例が多かった事を思い出し、さらに近年のiPhoneに至っては普通に(実質の)防水のような防御力を備えている事実に思い当たります。
Sonyのモバイル事業(xperia)は大赤字で、それでも事業を継続しているのは、モバイル事業で得た技術や英知が他の製品にフィードバックできるから。であればsonyの一眼カメラでもxperiaのタフネスが応用されているはずです。
全国で水没が多発している
で、調べてみると・・・やはりいるんですね。水没さん。全国にゴロゴロいます。流石に同じ機種での同様の事例はありませんでしたが、頭数的にもCanonの事例が豊富にありました。そして「記事が新しくなるほど蘇生率が高まっている」という人類の進歩を目の当たりにした次第です。
さらに調べると、Sonyのα7sⅡは防塵防滴が強化されているとのこと。日本のメーカーが防塵防滴と言っている場合は防水と(勝手に)解釈して間違いありませんw。
そういう事なので、カメラは復帰するだろうと確信し、心は安息へと向かいます。ただ心配なのはレンズ (SEL1635Z)です。これらはジップロックに封印し、シリカゲルで水分除去を数日徹底するしかありません。
太陽とシリカゲルによる除湿
食べてはいけないシリカゲルが活躍
野営当日は蓋を全て開け、ひたすら水を切り乾燥させました。帰宅後はジップロックにシリカゲルを入れ、カメラとレンズを同封。日光浴させます。すると数分でレンズやファインダー内に結露が発生。シリカゲルもすぐに赤くなります。
シリカゲルには塩化コバルトが同封してあり、これが能力のバロメーターになります。これが青いと性能十分。赤(というかピンク)になっていると水分を吸って乾燥能力が無いということ。色は太陽に透かすとよくわかります。
大量の水分を吸収
日光浴させて30分もするとジップロック自体に水滴がつき、シリカゲルが機能不全をおこしている事がわかります。この場合、シリカゲルを袋ごと電子レンジで温めると性能は復活します。だいたい1分くらいでアツアツになり、湯気がもうもうと立って水分が飛びます。
これをある程度冷ましてから再びジップロックに同封。日光浴させて再びレンジへ..というのを8回くらい行ったところでカメラ側の結露はなくなりました。
一方のレンズは手強く、最終的には12回くらいジップロックの入れ替えを行い、結露を解消した次第です。
かろうじて復活?
カメラもレンズも復活
その後カメラもレンズも見事復活し、試運転をしたところ問題なし。落下した湖が山奥で清流だった点はある程度の救いだったように思います。ただしレンズ側に多少の汚れ(?)が残ったため、どこかの段階でクリーニングに出す必要がありそうです。
撮影現場で実証実験
カメラ復帰後にすぐ撮影案件があったため、サブカメラとともに現場に投入してみました。写真も映像も問題なし。以後もしばらくは時間を見てジップロックで待機。動作不良は見られませんでした。
さらに一週間後に真夜中登山でカメラテスト。機能的には問題なく、バッテリーも正常に動作していました。
夜の湖はいろんな意味で怖いので、以後気をつけたいと思っています。感謝。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。