JR芸備線

鹿と電車が接触する事について-なぜよけないか

最終更新日:
公開日:2017/07/15

以前、広島県安芸高田市の向原町について書いた下記の記事で、鹿とJRの接触事故について触れました。

このあたりを走っているJR単線の芸備線は鉄道マニアを引き寄せる情緒あるローカル線ですが、鹿との接触で時々停止します。都市部の感覚からは考えられませんが、中には一晩の間に別々の場所で3回鹿に止められた、というような話もあります。

鹿は電車をよけないのか?と疑問に感じるものですが実際に現場を見ると、鹿からすれば「お前がよけろ」という感覚なのだろうな…、と妙に納得できる、それくらい人と自然の距離が近い地域です。

Foremaの商品ラインナップに突如登場した「ジビエっぽい皿」。意味不明な感も強いこの商品について、解説の意味も含めて記載します。

中国新聞の記事
JR芸備線が一晩に3回も鹿と接触し、緊急停車したという記事。記事にすると物々しいが、行間からのどかさを感じる。

前の記事でも書きましたが、鹿とJRの接触事故はわりと頻繁に起きているわけですが、中には同時多発的に別々の場所で起きることもあります。鹿と接触して停止しているJR芸備線はのどかな単線で、スピードもそんなに出すものではありません。それがなぜこんなに頻繁に接触するのか?なぜ鹿はよけないのか?

で、つい先日、その向原町の現役猟師さんらが弊社に来られたので、その時に聞いて見ました。

「どうして鹿は電車をよけないんですかね??」

それについては諸説があるそうです。

鹿が電車と接触する背景

安芸高田の熟練猟師さん
安芸高田の熟練猟師さん。ライフルで遠距離から一撃で仕留める、今では数少ないレジェンド的な存在。

群れで動くから

鹿は群れで行動します。特にこの向原町を含む安芸高田エリアは生息数が非常に多く、日が暮れると時に数十頭が山から一斉に降りてくるという事もあるそうです。

「薄闇の中に野生動物の目がキラキラ光っとる。数えたら60頭くらいおった。そういう事はよくある」(地元の狩猟関係者)

「ワシは鹿なんか滅多に見んが、吉田(安芸高田の地名)の方に行くとものすごく大きな群れがおる。あんなのは初めて見た」(鳥取県西部の熟練猟師)

というように、大きな群れで山から降りてくるわけですが、先の一頭が線路を渡ると、後続の数十頭もそれについて一斉に渡るのだそうです。先頭の個体は周辺に危険がない事を察知して渡ったのでしょうが、後続のさらに後続の方になると状況が変わっており、皆が渡り終える前にJRが通りがかってしまう事もあるようで、中には運悪く接触する事があるのだろうという話でした。

鉄分を補給しているから

芸備線
山と線路が接しているJR芸備線。山側から鹿が降りてくるのだろう。

上記の説とは別に、鹿が線路をなめに来るから、という興味深い説もあります。線路をなめるのは鉄分の補給の為らしく、厳密には線路の周りにある鉄粉などを舐めているとのこと。無心になめすぎて一部の個体が逃げ遅れたのではないか?というのが接触事故のもう一つの背景です。実際に線路をなめている鹿の様子は時々目撃されているらしく、とても気になる説です。

これについては「乗り物ニュース」にも記事と写真が掲載されていました。

https://trafficnews.jp/post/44164/

https://trafficnews.jp/post/44164/

鉄分が不足する理由は、人間であれば栄養の偏りや過剰なダイエットなどが挙げられますが、野生動物の場合は、妊娠や出産・授乳などによる鉄分の不足→補充といった事情も考えられます。

で、これと似たような背景として、ナショナルジオグラフィックに以下のような記事があったので合わせて紹介します。

ヒトの死体の骨を食べるシカ、はじめて観察
人体が腐敗する過程を研究する「死体農場」で偶然撮影、ミネラル不足か

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/051000176/

オジロジカは、普段はどこにでも生えている小枝や木の実、草の芽、そしてキノコなどの植物を食べる。

けれども、時には肉食に転じることがある。人骨を食べる姿が観察されたのは今回が初めてだが、魚や死んだウサギ、生きている鳥まで食べるという報告は以前から存在した。(参考記事:「【動画】シカ3頭がコンビニに乱入でドタバタ劇」

特に植物が少なくなる冬などに、リン、塩、カルシウムなどのミネラルが不足すると、シカは骨を欲するのではないかと考えられる。

鹿肉は鉄分が豊富なヘルシー食材ですが、その鉄分は彼らが必死に蓄えてきた結果なのだと思うと、鹿肉は自然界や生態系から得られる恩恵なのだと改めて思い知らされます。

他にも気候的な要因(雨がふると獣道に集中する、活動が活発になる、霧でお互いの認知が遅れる etc..)もあるのだと思いますが、人間と野生動物の境目にある様々な事象を、我々はもっと知っておく必要があるのだと感じました。

安芸太田町でニホンザルに遭遇
安芸太田町で遭遇したニホンザル。群れで10匹前後。

関係ないですが、少し前の豪雨翌日に、猿の群れに遭遇したので写真をアップします。動きが速すぎて全貌の写真はまったく無理でしたが、動きがとても活発になっているようでした。

愛犬、愛猫の腸内フローラ検査
ここまで分かる! 愛犬 愛猫の腸内細菌解析

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です