体内に出入りする土中細菌
私たちやペットの腸内から検出されるミクロの世界の住人たち。腸内細菌と呼ばれる微生物群のうち、何割かは腸内だけではなく、自然界にも広く存在しています。
いや、自然界の延長として腸内にも生息しているといった方が正解でしょうか。
自然界の中でも特に土中は細菌の宝庫。それはものを腐らせて土に返す腐敗菌だったり、傷口に入ったら感染症になるような病原性の細菌、またそれらの細菌の毒素を分解したり、病原性細菌そのものの増殖を妨げるような細菌も存在します。
そしてこれらは、食べ物や生活を通じて私たちの腸内にも入り込み、多くは同じような働きをしています。
酪酸産生菌と新型コロナウイルス
新型コロナウイルスで重症化した人とそうでない人を比較した研究があります。そこで報告されていたのは「重症化した人の腸内では酪酸産生菌が枯渇していた」という事実。「酪酸産生菌」の種類はいくつかありますが、それらはたいてい酸素が苦手なため、動物の腸内や口腔内に生息しています。
そんな「酪酸産生菌」が好んで食べるのは、「繊維質」や「乳酸」など。「繊維質」の代表的なものは食物繊維であり、宿主が食べる野菜/根菜といった、土で育まれた産物たち。
また、「乳酸」を産み出す代表的な存在は乳酸菌で、海、山、川、落ち葉、土壌など自然界の様々なところに生息しています。
土で育まれた物質/ 微生物が直接・間接的に私達の口腔内・腸内につながって生命力すら左右しているという神秘。
大地の住人たちとうまく共存できる宿主だけが健康に生き続けられるという自然界の摂理を、私たちはもう一度思い出す必要があるのかもしれません。
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Foremaのラボメンバーが主体の編集チーム。犬と猫のマイクロバイオーム(腸内細菌/口腔内細菌)関連を中心にお届けします。