皆さんは愛犬のおならを聞いたことがありますか?ワンちゃんも私たちと同じようにおならをします。愛犬がおならをしても音がしなかったりにおいが薄いと飼い主さんが気づかないのも当然です。実際、自分のおならの音にビックリするワンちゃんもいるようなので、普段の音はあまり大きくないのでしょう。おならの成分はほとんどが口から吸った空気で、空気以外の成分は腸内で食べ物が分解される時に発生するガスが原因です。ここではおならが出る原因と、おならに隠されている病気の可能性について書いています。
目次
おならの多い子どんな子?
早食いの子
ご飯が大好きであっという間に食べてしまう子は、食べながら空気も一緒に飲み込んでいますのでおならをしやすくなります。ご飯の1回量を少なめにして回数を増やしたり、早食い防止の器を使うなどで空気を飲み込む量を減らせる可能性があります。
興奮しやすい子
喜びや緊張など感情が表に出るのは多くのワンちゃん共通で、見ていてとても可愛いです。ただ、興奮することで呼吸数が増え、おならの回数も多くなります。ワンちゃんの性格による所も大きいので個性と捉え、おならを減らすために感情を抑えることはせず優しく見守りましょう。
短頭種の犬種
フレンチブルドッグ・パグ・ペキニーズ・シーズー・狆など鼻の潰れたワンちゃんは鼻呼吸が苦手なので口呼吸をすることが多くなります。その分空気を吸い込みやすくなりおならの量も増えます。これらの犬種は軌道が狭く、呼吸すること自体が大変なのでおならよりも他の病気(熱中症など)に注意が必要です。
くさい?くさくない?
おならの多い子のお話をしましたが、空気をたくさん飲み込んで出るおならは、飲み込んだ空気がそのまま出ているだけなのでにおいはそこまでありません。おならの成分は約7割が空気、約2割が体内を流れる血液中のガス、そして残りの約1割が食べたものを消化する過程で発生したガスだと言われています。その1割の食べ物を消化する時に出るガスがおならのにおいの元となります。
口から食べたものは食道→胃→小腸→大腸へと送られていきます。小腸までの過程で消化できなかった食べ物のカスが、大腸で腸内細菌によって分解され、発生するガスがおならとなって出てきます。
食物繊維とおならのにおい
食物繊維を多く摂取すると便秘が解消したという話を聞いたことはありませんか?サツマイモやカボチャなど繊維質の多い物を摂ると、腸の動きが活発になりおならが出やすくなります。しかしにおいはあまりありません。
動物性タンパク質の摂りすぎとおならの関係
肉食寄りのワンちゃんの体は私たち人間に比べて肉類などのタンパク質を多く必要としていますので、必然的にお肉やお魚メインの食事となります。この肉類などのタンパク質が胃や小腸で消化されずに大腸まで送られ、大腸でも処理できない量だと、発生する硫化水素などのガスがとてもくさく、においの元になります。摂取しすぎると栄養を吸収しきれないので、与え過ぎには注意が必要です。
シニア犬になるとおならがくさくなる?!
個体差はありますが、年をとると胃腸の機能が衰え消化能力や蠕動運動なども低下しがちになります。すると便が体内にとどまる時間が長くなり、おならもくさくなっていきます。若い時から同じご飯を続けている場合は、年齢に合わせてより消化吸収のしやすいご飯に見直す必要があるかもしれません。
ストレスは健康の大敵
ストレスを感じると腸の働きが鈍くなり免疫力が下がります。ワンちゃんが感じるストレスは実はたくさんあって、来客、ペットホテルへ預ける、お留守番、急な温度変化、運動不足、引越しなど、そのほとんどは残念ながら飼い主さんが影響していることが少なくありません。適度なストレスは良い刺激となりますが、過剰なストレスは腸内環境を乱し様々な疾患の原因となりますので注意が必要です。
病気の可能性も?!
普段の日常に変化がないのにおならの回数が増えたり、においがくさくなったりする時は病気も疑いましょう。腸内に炎症が起きていたり腫瘍ができたりするとおならの回数やにおいにも変化が現れますので、少しでも気になったら動物病院で診てもらった方が安心です。
まずは腸内の細菌を知る事から始めよう
腸内細菌との関わり
おならのにおいに深く関わっているのが「腸内細菌」です。
腸内細菌には良い影響を及ぼす菌や悪さをする菌など様々な菌が住んでいますが、健康な犬はそれぞれの細菌のバランスが取れ、腸内では生態系が保たれています。
腸内細菌のバランスが崩れるわけ
腸内細菌は日々変化しています。2週間食べる物が変わっただけでも顕著に現れますし、ストレス、老化、病気(腸炎,膵炎,癌 etc..)など様々な理由で生態系のバランスが崩れると、下痢や嘔吐などの原因となったり、さらにひどくなると発癌性が指摘されるような物質を産生したり..。
おならのにおいがくさくなるのもその一環です。おなら自体は生理現象ですが、においがキツい、回数が多いという場合には腸内に何らかの異変が起きている可能性もありますので、少し気にかけてあげる必要があります。
腸内環境を整える
腸内細菌には個体差があり、同じ環境、同じご飯で育っていてもそれぞれに違いが出ます。腸内環境を改善するにはしっかり運動をして腸を動かすことや、ストレスの少ない生活が重要ですが、同時に「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」といったサプリを摂取することも有益です。
- プロバイオティクス
腸内細菌に良い影響を与える細菌のことを「プロバイオティクス」と言います。納豆に含まれる納豆菌や、ヨーグルトのビフィズス菌などはよく耳にしますね。
- プレバイオティクス
「プロバイオティクス」のエサとなるのが「プレバイオティクス」。名前が似ているし長いので覚えにくいですが、腸内細菌に良い影響を与える細菌と、その細菌が食べるエサと覚えても良いと思います。
まとめ
普段あまり気にも止めないおならですが、実は健康のバロメーターとして重要な役割をしてくれていますね。くさくない場合はあまり心配する必要はないですが、においがある場合には食事の内容などに変化があったかどうか思い返してみてください。愛犬の健康状態を見る時には食欲、元気、表情、うんちの状態を見る事が多いと思いますが、それに加え、今後はおならも注意してみてください。
ワンちゃんネコちゃんに健康な毎日を。食の面からサポートさせていただきます。動物保護・生態系保全などあらゆる角度から野生動物を取り巻く環境について勉強中。
保有資格:愛玩動物飼養管理士一級、動物看護士