Porphyromonas gingivalis -ポルフィロモナス ジンジバリス-
最も重要な歯周病細菌
「P. ジンジバリス」は他の細菌を巻き込んで口腔内の疾患を引き起こす、最も重要な歯周病菌の一つです。歯と歯茎を破壊した上、さらには骨を破壊する炎症反応を誘発します。
この細菌の毒素は死滅後も残り、腸内細菌にも影響を及ぼすことが分かっています。
この細菌が引き起こす疾患は歯周病だけにとどまらず、膵臓がんやうつ病、リウマチへの関与が報告されています。つまりは自己免疫疾患の原因の一部にも関わっている可能性があります( ※ )。
( ※ P. ジンジバリスによるリポ多糖の代謝 + 免疫による炎症性サイトカインの放出)
「食が細い..」「食べることに興味が無い..」そういうご申告のある犬や猫の腸内から、歯周病菌が多めに検出される事がしばしばあります。通常、腸内から歯周
人だけではない!? ペットからの検出も
従来は人間の歯周病研究において注目されてきた存在ですが、Forema での解析事例においては、ペットの腸内からもしばしば検出があります。
腸内から歯周病菌が検出される場合、口腔内では少なくともその5 〜10 倍程度、多い時では100 倍近い量で検出があります。
感染経路は飼い主さんである可能性が高い一方で、野生動物からも微量に検出される細菌のため、可能性をあげればキリがありません。
病原性細菌を回避したい場合、完全な防除を目指すのではなく、侵入されても防げる健全さ、体内細菌叢の多様性が重要です。
口腔内における「P. ジンジバリス」の抑制には「L. サリバリウス」という乳酸菌が有益という報告がありますが、他にも抑制に貢献する細菌たちは多数存在すると考えられます。
わずか数年前まで知ることのできなかったミクロの世界。解析技術の飛躍的向上で可視化が進み、少しずつ対策が可能になり始めています。
Foremaのラボメンバーが主体の編集チーム。犬と猫のマイクロバイオーム(腸内細菌/口腔内細菌)関連を中心にお届けします。