猫にとって乳酸菌は必要?

最終更新日:
公開日:2023/05/12

猫の健康を維持するためには、腸内環境のバランスが非常に重要です。乳酸菌は、腸内環境を整え、猫の健康をサポートする役割を果たします。本記事では、乳酸菌の概要や猫にとってのメリット、そして猫の腸内環境と健康について詳しく解説します。さらに、猫の乳酸菌を増やす方法についても紹介します。

そもそも乳酸菌ってなんだろう?

乳酸を生み出す細菌の総称

いわゆる善玉菌の代表的な存在である乳酸菌。じつは乳酸菌という種類の細菌がいるのではなく、乳酸を生み出す細菌たちの総称として、乳酸菌という呼称が使われています。

自然界に広く存在する

乳酸菌は腸内細菌の一種でもありますが、自然界に普遍的に、広く生息しています。分類的には300種近くにも及び、研究が進むにつれて、さらに分類は細分化されています。

代表的な乳酸菌としては、ラクトバチルス属が挙げられますが、近年の再分類によって、ラクチプランチバチルス属やリモシラクトバチルス属といった新たな分類が登場し、細分化が進んでいます。

関連商品:猫のための口腔乳酸菌

猫の腸内にも生息

自然界に広く存在し、人の腸内でも活躍する乳酸菌は、当然ながら猫の腸内にも生息しています。人と同様に、猫も腸内環境の悪化によって、消化トラブルや免疫機能の低下などの健康問題が起こります。乳酸菌は、こうした腸内トラブルのリスク軽減に有効な場合が多く、人同様に猫にとっても有益な存在です。

一方で、ビフィズス菌は猫にとってはそこまで重要では無く、ほとんど保有していない健康個体も多々存在します。

ストレプトコッカス
前回、犬とビフィズス菌について記載しました。今回はなんとなくビフィズス菌と混同されそうな乳酸菌についてお伝えします。 ※当記事は関連文献および、

猫にとっての乳酸菌のメリット

乳酸菌は猫の腸内で下記のような有益な働きをしています。

腸内の酸性化と抗菌活性

乳酸菌は周辺の環境を酸性に傾ける事で、病原性細菌が生息しづらい環境を作ります。抗菌活性です。これによって腸内の有害な細菌の増殖を抑え、自分達にとって、また他の有益な細菌たちにとって有利な環境を維持します。

他の有益な細菌の育成

乳酸菌の生み出す乳酸は、たとえば酪酸産生菌などの有益なメンバーたちの餌になります。また上述のように、それらのメンバーが住みやすい環境を作るため、腸内全体の生態系に好影響を与えます。結果的として便秘や下痢などの消化トラブルが軽減されます。

炎症抑制

乳酸菌には抗炎症効果もあります。炎症はさまざまな疾患の原因となることがあり、乳酸菌の育成や摂取によって炎症を軽減できる可能性があります。これにより、猫の慢性的な炎症性疾患やアレルギー反応の緩和に役立つことがあります。

関連記事:猫の乳酸菌サプリ ラクトマン

猫の乳酸菌の増やし方

猫の腸内に乳酸菌を増やす方法はいくつかあります。

プロバイオティクスの摂取

プロバイオティクスというのは「生きた細菌」を含んだ食品のことで、ヨーグルトなどは代表的なプロバイオティクスです。他にも生きた乳酸菌のサプリメントもプロバイオティクスの一種と言えます。

発酵食品の提供

プロバイオティクスとして、猫にヨーグルトや乳酸発酵食品を与えることができます。ただし、猫の消化器官は人間とは異なるため、ヨーグルトや乳製品を与える際には無糖であることは重要です。人間目線で味付きのものをあげるのは最善では無く、また国内のヨーグルトは、味付けのものとプレーンのものでは乳酸菌含有量が異なる場合があります。

乳酸菌入りのフード

一部のキャットフードには、乳酸菌入りのものも存在します。ただし、フード加工されているものは生きてはおらず、「死菌」というカテゴリーです。

「死菌」であっても、それ自身が他の乳酸菌らのエサになり、腸内の既存乳酸菌たちの増加につながる場合があります。ただしフードでの乳酸菌含有量は極めて低いのが一般的で、効果を優先するのであればサプリ類を使用することをお勧めします。

関連商品:乳酸菌(死菌)とプレバイオティクス入ウェットフード

猫には腸球菌?

猫にとって重要な乳酸菌は腸球菌という説があります。

腸球菌というのはエンテロコッカス属の細菌の総称で、有名なところではフェカリス菌などが該当します。

猫に腸球菌が有益という説は、そこまで正確ではないかもしれません。

2010年代前半の文献で、猫の腸内で優勢なのは腸球菌である、と言及したものがあるのですが、これが一人歩きして都市伝説のようになっている可能性があります。

もしくは、2017年に国内で「猫の腸内では腸球菌が優勢」と報告する研究論文があり、こちらも根拠となっているのかもしれません。この研究は、猫の年代ごとの腸内細菌を検証した点で大変有意義なものですが、NGS(次世代型シーケンシング)による塩基配列の読み取りではなく、旧来の細菌培養によって検証しているため、全貌の把握には向いていない可能性があります。

現実として、猫の腸内で腸球菌が優勢というものでもなく、個体によって差異はあるものの、だいたいラクトバチルス属が優勢です。(Foremaラボでの数百頭の解析事例にて確認)

猫の乳酸菌 総論

病原性細菌を抑制し、腸内の炎症を抑制するといった文脈においては乳酸菌は猫にとっても重要な存在です。

一方で、腸内においてはあくまでパーツの1つでしかありません。

乳酸菌を盲信しすぎず、本来肉食動物である猫にとっての最善の食事と、最善の環境を用意してあげることで、腸内環境も健康を維持できるのではないでしょうか。

関連商品:猫の腸内フローラ検査

この記事を読んだ人にオススメしたい商品

愛犬、愛猫の腸内フローラ検査
ここまで分かる! 愛犬 愛猫の腸内細菌解析

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です