寒さもほころび、春の兆しが強まって来た3月上旬、瀬戸内海沿いの鐵工所跡地(みたいなところ)で半野営を行い、鹿の骨付ロースを堪能してきました。
目次
骨付ロースという選択
飲食店を除けば、鹿の骨付きを選択する理由はほとんどありません。が、アウトドアにおいてはさにあらず。骨付こそがアウトドアの真骨頂と豪語しても過言ではないように思います。
そういうわけで、手短ではありますが鹿の骨つきロースを祭り上げていきます。
炭火を鎮火
鹿肉を網焼きで加熱する場合、強火は厳禁です。せっかくの赤みがカリカリになってただの焼肉と化してしまします。それを避けるためにも炭火を先に鎮火させ、超弱火となったところに配置します。
炭は可能な範囲で分散させ、遠火弱火に徹します。
弱火でしばらく放置
火にくべたらしばらく放置します。火が弱いと熱の通り具合がなかなか把握しづらいのですが、弱く長くが秘訣。心配なら少し切ってみて中身を確かめるのもよし。
少しずつ表面がパサついた感じになっていればだいたいOK。そのまま裏返した面もじんわり加熱。適度なところで刃を入れて火の通り具合を確認しましょう。
ナイフで裁断
骨付のロースやバラは、当然ながら骨に沿って刃を入れます。猪の場合、背骨の裁断は難儀そのものですが、鹿の場合は手で裂ける事が多いです(エゾジカだと難しいかも??)。
断面を見るとまだ赤い部分が多く、裁断した上で改めて加熱します。ただし、完全に加熱しきると鹿ロースの驚異的な柔らかさが損なわれてしまうため、この辺りの火加減・さじ加減がもっとも繊細なところです。
(生食はNGなのでご注意を)
味付けはステーキソースやドレッシングが吉!?
今更ながら、骨周りのお肉は美味しいです。多少火が通り過ぎたとしても美味しいです。それに加えて適度な味付けをする事で飛躍的に食体験が向上します。何もなければ塩胡椒でもいけますが、できれば自家製のステーキソーソやフルーツソースなど、あっさりした鹿肉と相性の良さそうなソース類、もしくはなければドレッシングなどでも意外となんとかなる場合もある(種類にもよる・・)ので一度お試しください。
骨付肉はアヒージョにも最適
鹿のロースは、個体差もありますが驚くほど柔らかいです。和牛、時にはマグロと間違いそうな瞬間すらあります。(特に背骨周りなど)
一方で少し火が通り過ぎた部分も出てしまうのが炭火のあや。そうした時はアヒージョが便利です。アヒージョはオリーブオイルとニンニクをスキレット(分厚いフライパンの一種)で熱したもので、ここに好きな食材を入れて揚げます。
ここに骨付のロースを浸してフゥフゥいいながら食べるのがいかにもアウトドアっぽくて体験的にも印象に残るシーンになるはず。食べ終わったらそのまま炭火に入れて燃料の足しにもなるので便利。自然の恵みを最後まで活用可能となります。
骨付のメリットとデメリット
キロ単価が安い
鹿や猪の骨付肉には、見た目や希少さ以外にも実は大きなメリットがあります。それは価格がやや抑えられるという点。解体の手間がある程度省かれるので、キロ単価が若干下がります。気分的にもイケイケな感じになるのでその点においてもオススメです。
サイズが大きい
逆にデメリットは、ある程度の大きさになってしまうため、2,3人だと持て余すかもしれない点。また運ぶ時に多少スペースをとってしまうという点もあります。また、半分くらいは骨なので、見た目ほどは食べるところがないという実情もあり、雰囲気アイテムという側面も多少あります。(キロ単価は骨の重さもあるという前提での値付け)
縄文期の再現
鹿と焚き火というのは、我々日本人が狩猟生活を行っていたであろう縄文時代の再現とも評せます。日本においては古来から鹿は重要な食肉であり、毛皮は衣服(※)に、骨や角は装飾品として活用されて来ました。鹿と火は我々のDNAに刻まれて来た食体験と言えるのかもしれません。
※ただし縄文時代にはすでに布を作る技術あり。基本的な衣類は布で、縄文時代が未開の原始時代と教えて来た戦後教育は(意図的な?)誤り。
そういう事なので、野営をする際は骨つきがおすすめです。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。