コロナウイルス感染症のまん延にともなって、「おうち時間」が増えたために、犬を飼い始める方は増えました。初めて犬を飼う方も多く、どうやって飼っていけばいいのか?どんな病気になりやすいのか?など不安なことも多いと思います。
この記事では、犬がよくかかる3つの病気とその予防を解説しています。
品種ごとにかかりやすい病気も異なるので、愛犬の種類にあわせて対策をしてあげてくださいね。
目次
犬がかかりやすい3つの病気とその予防とは?
犬がかかりやすい病気として、
- 下痢や嘔吐など消化器の病気
- 痒み、脱毛など皮膚のトラブル
- 異物の誤食
の3つが多くみられる傾向にあります。
これらは品種を問わず生じることが多いので、どの犬種を飼っている飼い主さんでも注意してあげてくださいね。
以下で分けて説明していきます。
消化器のトラブル
人でもそうですが、なんとなく食欲がなかったりお腹が痛かったり…といった消化器症状は、時々ありますよね。
翌日には治ることが多いですが、長く続いてしまったり重度の場合には、病院で薬をもらうこともあると思われます。
犬においても同じで、いつもと同じような生活をしているのに、突然吐いてしまったり下痢をしてしまったりということはよくあります。
だた、消化器症状を示す病気の原因は多岐に渡るので、「何が原因なのか?」を即座に判断することは難しいです。
そのため、症状が続く場合や状態がよくない場合には、動物病院で検査をしたり薬をもらうようにしましょう。
消化器トラブルに関して予防するのは難しい場合もありますが、
- 人の食べ物をあげない
- 食事を急変しない(新しい食事には1週間程度かけて変更する)
- 生活リズムを整える
などして対応するといいでしょう。
皮膚のトラブル
痒みや脱毛、イボがある…など見た目で分かるため、皮膚のトラブルは飼い主さんが気づいてあげられることが多いです。
感染症やホルモンの異常など原因は様々ありますが、薬やシャンプーなどで治療が必要な場合が多いです。
以下でもお伝えしますが、柴犬やシーズーなどは皮膚トラブルになりやすい犬種なので、生涯にわたる治療が必要なときもあります。
皮膚病を予防するためには、
- ブラッシングや定期的な(1か月に1回程度の)シャンプー
- 日頃からのスキンシップでの早期発見
が重要になってきます。
異物の誤食
病気とは違いますが、「変な物を食べてしまった!」ということで来院されるケースも非常に多いです。
タマネギ、チョコレート、人間の薬、おもちゃ…など、ありとあらゆるものの誤食があります。最近ではマスクを食べてしまう事故も多いです。
異物の誤食については、動物病院での吐かせる処置や内視鏡での摘出で対応します。
ただ、誤食については、「物を犬の届かないところに置く」ということで100%対策ができます。今一度、気をつけてみましょう!
犬種ごとでのかかりやすい病気とその予防
日本には純血種がとても多く、それぞれにかかりやすい病気(遺伝病)があります。
人の都合に合わせて偏った交配を繰り返すことで、その欠点も強められてしまったためです。
飼い主さんは、犬種の特徴を十分に理解してよく観察することで、病気の早期発見と早期治療に努めるようにしましょう。
トイプードル
膝蓋骨脱臼という後ろ足の膝のお皿が外れてしまう病気にかかりやすいです。
痛みや跛行を伴う場合には安静や鎮痛剤で治療し、症状が重い場合には手術をすることもあります。
先天的なものなので予防は難しいですが、家の床を滑らないようにする、段差をなくすなど工夫して対策してあげましょう。
チワワ
チワワは僧帽弁閉鎖不全症という心臓の病気にかかりやすいです。
この病気は、加齢とともに生じることが多く、心臓内の逆流防止をしている弁がうまく働かないことにより、血液の流れが滞ってしまいます。
内服薬で生涯を通して治療しますが、最近では外科手術を行っている動物病院もあります。
太っていると心臓に負荷がかかるので、肥満にならないことも重要です。
柴犬
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどにかかりやすい犬種です。
痒みや脱毛を伴うことが多く、一般的には抗生剤や免疫抑制剤などで治療をしていきます。季節や食事内容により痒みの変動はありますが、長期的に治療していくことが多いです。
併せて、シャンプーやブラッシング、保湿など日頃のスキンケアが重要となってきます。
ミニチュアダックスフンド、カニンヘンダックスフンド
ダックスフンドといえば胴が長いのが特徴の犬種です。
それゆえ、腰に負担がかかり、椎間板という背骨の骨間にあるクッションの役割をする部分が変性して、上を走る神経を圧迫してしまう病気「椎間板ヘルニア」にかかりやすいです。
後ろ足のふらつきや麻痺、ひどい場合には呼吸がうまくできなくなって亡くなってしまうこともあります。
背骨に負荷をかけない生活が重要で、段差をなくす、太らないといったことに気をつけるようにしましょう。
ポメラニアン
気管虚脱という、空気の通り道である気管がペタっと潰れてしまう病気にかかりやすいです。
呼吸が苦しくなってしまうので、気管支拡張剤や消炎剤で治療をしていきます。
特に高温多湿の梅雨時期や夏に悪化することが多いので、温度や湿度管理には気をつけるようにしましょう。
フレンチブルドック
けいれん発作を起こしやすい犬種です。
意識がなくなったり、歩き方が変になったりと、突然に症状が出る場合が多いです。
予防ができないことが多く、発作が長く続く場合にはすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
また、皮膚トラブルも多いので、シャンプーやブラッシングなどのケアも十分に行いましょう。
ミニチュアシュナウザー
ミニチュアシュナウザーは、肝臓や胆嚢(たんのう)の病気になることが多いです。
無症状の子もいますし、突然の消化器症状やぐったりして入院治療、場合によっては手術になることもあります。
定期的な健康診断で、肝臓の数値や状態をよくみてもらいましょう。
ヨークシャーテリア
膝蓋骨脱臼や気管虚脱になりやすい犬種です。
太らせないようにする、生活空間を足に負担のかからないようにする、などが重要です。
シーズー
シーズーの皮膚は脂っぽいことが多く、脂漏症という病気になりやすいです。
細菌が繁殖しやすい皮膚の状態なので、定期的なシャンプーやブラッシングなどのスキンケアが重要です。
マルチーズ
マルチーズは僧帽弁閉鎖不全症の好発品種です。
太らないこと、早期発見と早期治療が重要です。
また目が大きく被毛が白いので「涙やけ」が目立ってしまうこともあります。
毎日きれいに拭いてあげたり、専用のフードに切り替えるなどするといいでしょう。
ウェルッシュコーギーペンブローク
ウエルッシュコーギーペンブローグは胴長短足な犬種なので、背骨の神経の病気にかかりやすいです。
また太ってしまうことも多いので、ダイエットを心がけるようにしましょう。
パグ
パグは脂の多い犬種なので、皮膚の病気(脂漏症、膿皮症など)にかかりやすいです。
また、入り組んだ耳の構造をしているので、外耳炎という耳の病気にもよくなります。
定期的な耳掃除やシャンプーをすることで予防しましょう。
キャバリアキングチャールズスパニエル
僧帽弁閉鎖不全症になることが非常に多く、薬での治療を一生涯行う必要があります。
また、肥満になりやすい犬種でもあるので、太らせすぎないように気をつけましょう。
ゴールデンレトリバー
ゴールデンレトリバーは、中高齢での腫瘍の発生率が高い犬種です。
何の症状もなくても、突然の貧血や失神などを生じ、命に関わる場合もあります。
若いときからの超音波検査などの定期検診が重要で、早期発見に努めるようにしましょう。
ラブラドールレトリバー
ラブラドールレトリバーもゴールデンレトリバー同様、高齢になってからの腫瘍発生率が高い傾向にあります。
健康なときからの動物病院での検診が重要です。
【まとめ】犬がかかりやすい病気と予防
犬がかかりやすい病気は、
- 下痢や嘔吐など消化器の病気
- 痒み、脱毛など皮膚のトラブル
- 異物の誤食
などがあります。
また、品種ごとにかかりやすい病気もあるので、日頃からスキンシップをとり、病気の早期発見に努めましょう!
獣医学経験者。ペットに関することを、なるべく分かりやすくお伝えしていきたいと思います。