鹿のお肉が美容にいいというのは比較的知られるようになってきましたが、猪のお肉も美容と健康にとって優良な食材です。
そもそも猪とは?
猪と豚は基本的に同じルーツの生き物です。猪を家畜化したのが豚で、家畜化は数千年前にはおこなわれていたと言われています。豚が人間に食べやすい方向に改良されていったのに対し、猪は野生動物そのままなために全く違う生き物として存在しています。日本にいる猪は厳密にはニホンイノシシといいます。実はかなり繊細な生き物。
猪のお肉の特徴
猪肉の、特に成分面における特徴では以下の点が挙げられます。
- 高タンパク
- 低カロリー
- 低脂肪
- コラーゲンが豊富
- ビタミンB1がやや豊富
- ビタミンB2が豊富
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- カルニチンが豊富
- アンセリンが豊富
- ミネラル豊富
- イミダペプチドのひとつ、カルノシンが豊富
- コエンザイムQ10が豊富
文字だけ並べると、基本的に鹿肉と同じですが、コラーゲンにおいては鹿肉には無い特徴です。また、ごく最近の研究では猪肉にはコエンザイムQ10が豊富に含まれる事が分かってきており、認知症リスクの予防が期待されるようになってきました。
イミダペプチドの存在が明らかに
さらにはイミダペプチドの一つ、カルノシンが豊富という事も重要な魅力。沖縄の人たちが長寿なのは気候の他に食生活、特に豚を良く食べる点がしばしば指摘されますが、豚肉にもカルノシンが豊富に含まれており、その祖先にあたる猪にも当然カルノシンが多く含まれていたというわけです。
ちなみにイミダペプチドというのは、「イミダゾール基を含むアミノ酸が結合したペプチドの総称」で、いわゆるアンチエイジング効果があると言われるもの。抗酸化作用、抗疲労作用があるため、各種サプリメントが発売されています。イミダペプチドの一つ、バレニンは鹿のモモ肉に多く含まれ、カルノシンは猪に含まれているのです。
みんな大好きアンチエイジング
あわせてコエンザイムQ10もアンチエイジングの切り札とまで言われている成分で、美肌、ツヤ、への効用はもちろんですが、細胞そのものの老化を防ぐと言われています。そして見た目の問題だけではなく、先述のように認知症のリスク軽減が期待されおり、これからの社会でますます注目されていくと思われます。
鹿と猪を食べておけばそれだけでアンチエイジングの効果が期待できるといっても過言ではなさそうです。
ワインと鹿・猪。最高じゃないか!
さて、ジビエといえばやはりワインですが、周知のように赤ワインに含まれるポリフェノールも認知症予防に効果的とされています。認知症の原因である「特定のたんぱく質」の蓄積を防ぐ効果が認められており、各種あるポリフェノールの中でも赤ワインに含まれるものは特に効用が高いのだそうです。
先に触れたコエンザイムやイミダペプチドと組み合わせれば長寿が即成立しそうな魅惑的な趣があります。
とは言え、ワインには亜硫酸塩の問題や、特に安いワインには色々と混ぜ物が入っているという疑惑(?)もありで、一概にワインをたくさん飲めばよいというものでもなさそうです。要はアンチエイジングの恩恵を受けながらほどほどに楽しめばよいのかもしれませんね。
天然ものこそ恵み
猪肉に限らず、本来自然界にある食べ物であれば何かしら体に良い成分がたくさん含まれているものです。ですが現代人が食べるお肉は現代人用にカスタマイズされ、同じく安定流通用にカスタマイズされた品。育成環境や飼料などは自然界にあるものとは程遠い点がしばしば指摘されます。
体にとって猪がいい、鹿がいい、という分類ではなく、天然物か家畜かという捉え方の方が妥当なのかもしれません。食材としての鹿・猪の存在は、現代の食肉事情・家畜事情にいかに改善の余地があるのかを浮き彫りにするサイレントメッセンジャーの側面も大いにありそうです。
近年ではペット用途でも需要が増加中。ペット用ジビエ通販については下記にて。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。