腎臓ケアの観点から見るジビエ肉と猫のご飯

最終更新日:
公開日:2021/04/02

猫が特になりやすいと言われている腎臓病ですが、そもそも腎臓病はどのような原因で起こってしまうのか?またそれを予防するにはどんな方法があるのか?高タンパク質と言われているジビエ肉を猫に与えても良いものなのか?

大切な愛猫に健康に長生きしてもらうために、知っておいた方が良いことをまとめてみました。

腎臓の働きとは

腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排泄する重要な器官ですが、東洋医学では「腎は先天の本」というように多くの機能を司っており、腎が弱まると様々な症状が出てきます。

腎臓の機能が低下すると、まず血液中に老廃物が溜まり身体のいろいろな臓器の働きに支障をきたします。

猫で多いのが、色々な原因により腎臓が障害され急速に腎機能が低下する「急性腎障害」に陥る例。この状態ならまだ回復の余地があるようなのですが、ここから腎機能が回復しないままだと、深刻な慢性腎不全、尿毒症などになってしまい15歳前後でなくなるケースが多いと言われています。

代表的な腎臓病「慢性腎不全」

血液中の老廃物をろ過し、尿として排出する役割を果たしている「ネフロン」という組織が少しずつ壊れていき、腎臓全体のろ過機能が低下してしまうのが腎臓病(慢性腎不全)です。腎臓の組織はいったん壊れると、治療をしてももとには戻りません。これは猫もヒトも同様です。

猫とヒトとの違いは、この「ネフロン」という組織の数が異なる(体の大きさに比例)ことで、猫はひとつの腎臓に約20万個、犬は40万個、ヒトは約100万個あるといわれています。

なので、特に猫は小さな頃からの腎臓を意識したケアが大切になってきます。

鹿肉を食べる猫
愛猫にジビエを食べさせても大丈夫?? と気になっている方も多いはず。 結論から言うと、猫にジビエを食べさせても大丈夫です! 何となく誤解さ

腎臓病予防に何が有効か?

水分摂取量を増やすこと

猫は新鮮なお水が大好き。なので、常に新鮮なお水を飲めるように数カ所に水飲み場を設置したり、給水器を導入するなど猫が「水を飲みたくなる」工夫が必要です。

また冬場はぬるま湯を時々あげたり、シニア猫は特に温度の工夫もしてあげると良いようです。

ドライフードだけではなく、水分を多く含んだ食事を与えること

特にシニアの猫ちゃんには水分をたっぷり含んだ手づくりご飯・おじやetcにして、食事から水分を摂取するようにしましょう。その際に使う食材を良質なものを選ぶことが、腎臓への負担を軽減させることに繋がります。

アミノ酸スコアの高いものを摂取する

動物の体を構成する約20%はタンパク質。このタンパク質は体のほとんどの部位に関与しているとても大事な成分です。タンパク質はそれぞれ小さな物質が50個以上結合し様々な形態をとりながら体内に存在しています。この小さな物質がアミノ酸と呼ばれています。さらにその中の必須アミノ酸の利用効率を評価したものが近年「アミノ酸スコア」と呼ばれています。

アミノ酸スコアとは?

タンパク質を口から摂取した場合は消化管の中で消化酵素により、アミノ酸レベルまで分解され、アミノ酸として体内にエネルギーとして吸収されます。その時に、摂取したアミノ酸の量が一番少ない成分(リンやリジン、メチオニンの場合が多い)の量によって、その他の栄養成分の「エネルギーとして吸収される量」が決まります。

全体的な栄養成分のバランスが良いほどアミノ酸スコアが高い状態となります。

アミノ酸スコアが高いものを摂取するメリット

吸収されたアミノ酸は肝臓へ運ばれ、必要な分だけ体の一部に合成されたり、エネルギー源になったりし、必要ない分は老廃物として腎臓機能によって処理されていきます。余分な栄養成分が過多になる食事を与えることで、腎臓への負担が増してしまうので、このバランスがとても大切です。

お肉をドライフードにプラスして与えて良いものなのか?

ここで気になるのは、栄養補助として肉を足すことが果たして良いのかどうか?
まず、総合栄養食にトッピングする場合に注意したいこととして覚えておきたいのは、「肉やレバーにはカルシウムに対して20倍~40倍ものリンが含まれている」ということ。

骨の正しい成長と維持にはカルシウムとリンの割合が重要です。このバランスが崩れると、動物の体は正しいバランスをとり戻そうと骨からカルシウムを吸収するようになるため与える量には注意が必要です。(しばしば下あごの骨からの再吸収によって高齢の動物の歯が抜けるのはこのためです。)
※カルシウムとリンの割合は、カルシウム1.1~1.4に対してリン1が適切です。

このバランスを崩しすぎない程度に、お肉を与えることは食べる楽しみを増やすことと良質なタンパク質を摂取できること、食欲不信の対策としてとても有益です。

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鹿肉や猪肉を子猫の頃から与えるメリット

良質なタンパク質を摂取できることができる

すでに腎臓を患っている場合には、リンやナトリウムなどの電解質の排泄能力が低下しているので、多飲多尿や高血圧などになりやすいとされています。なのでリンの摂取量を低減させることは腎臓病の進行を抑えることが期待されます。

その一方で腎臓に負担をかけないためには必要栄養素とカロリーを充分摂取できることも重要です。腎不全の療養食というと、ただひたすらに「タンパク制限」を重視されている方も多いようですが、本当に重要なことは「良質なたんぱく質を少量摂ること」です。

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オメガ3など腎臓ケアに有効な栄養素を取り入れられる

腎臓と心臓は密接な関係があり、腎臓が悪いと間接的に心臓へ負担がかかることになります。オメガ3は、血管を柔軟にしたり、血流を改善します。血液がサラサラになり、心臓の負担が軽減され、腎臓の負担も減ると考えられます。

腎臓病に良いのは「亜麻仁油」と言われ、「オメガ3」や「オメガ9」といった、必須不飽和脂肪酸がバランスよく含まれています。

オメガ3脂肪酸(特にEPA)には高血圧や酸化ストレスの程減作用があり、腎機能障害の進行の抑制が期待できます。

「鹿肉」

お肉には非常に珍しく、オメガ3脂肪酸(α・リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA))、オメガ6必須脂肪酸(リノール酸・γ‐リノレン酸・アラキドン酸)も含んでいます。

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「猪肉」

ビタミンB群が豊富なだけでなく不飽和脂肪酸が豊富でその中の多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減少させて、ドロドロ血液をサラサラにするのに役立ちます。

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「ペットの最も一般的な病理と食べ物の関係性を研究した結果、自然飼育ではなく発育を早める促進剤や抗生物質を与えられた牛・羊・鶏肉等の残留化学物質が原因である」
( 1996年、獣医師であるセルジオ氏によりSanyPet社記事より抜粋)

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「ドライフードはジャンクフード」、そんな考えからドライフードを忌避する人が増えています。そんな中、ペット犬の「ドライフードと肉食」について、面白い海外

症状が現れてからではなく、子猫の頃からの食事ケアで腎臓に余分な負担をかけない配慮も大切で、それが腎臓病への予防につながるといえます。「タンパク質の質」「食事そのものの材料の質」を考えて、本当にカラダに良いご飯を選んであげたいものですね。

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