Forema 農園開始から1ヶ月たった6月。最悪の場合、数日で虫たちや雑草に制圧され、淘汰される可能性もあったのですが..。
経過を報告します。
目次
トウモロコシ13本の行方
水やりをしない、耕さない、草を抜かない
5月下旬にトウモロコシを植えました。季節としては少し遅めです。「耕して施肥をし、畝を作って..」という事は一切せず、シロツメグサやタンポポの群生の中に少しスペースを開けてもらい、10センチほどに育った苗を13本植え込んだのですが..。
このトウモロコシ栽培で一般的な農業と異なるのは、農薬や化学肥料を使わないのは当然として、耕さない、水をやらない、草を抜かない、この3点。
耕さない
耕さない理由は不耕起栽培という方法で、すごくざっくり書くと菌根菌などの土中細菌保護のため。土中のミクロの生態系を保全し、かつ表土の流出を防ぎます。
水をやらない
水をやらないのは、単に農園には毎日出勤できないから。不精とかグウタラの類です。それでも生き残ってもらうためには土中の保水力が重要になってきます。
草花が生きているのに野菜だけが死ぬと言うのは本来おかしいと思うので、草花たちと同じ条件で育ってもらう事にしたわけです。
草を抜かない
草を抜かないのは、まさに上で触れた保水力維持のため。草花で表土を覆っておくことで土の表皮の乾燥を抑え、また保水しやすい土質を維持するというメリットもあります。この時、どんな草でもいいわけでなく、今回はトウモロコシのよき隣人であるマメ科のシロツメグサを優遇。
スペース的に邪魔になりそうな、大き過ぎたタンポポなどに移動してもらい、あとは概ね自然のままで植えました。
3週間放置でどうなったか?
水やりなしでも全株が生存
今回最も気がかりだったのはやはり保水。私が幼少の頃に実家で無農薬で育てていたトウモロコシは、「毎朝の水やりが大変だった」そうで、その労働を放棄した今回の施策は無謀かと思ったものです。
が、実際には適度に雨が降り、農地はそれらをしっかりと保水してくれていました。
シロツメグサが繁茂する土地では、毎朝水やりをする必要はなかった!
保水のわかりやすい指標として、畑に多くのアマガエルが遊んでいること。バッタと同じくらいの頻度でアマガエルが草花に紛れています。
畑にたくさんアマガエルがいるというのはとても素敵な風景です。(※とは言え、アマガエルは乾燥にはまあまあ強い)
余談:カエルが減っているらしい
アマガエルついでに触れておくと、日本中でカエルが減少傾向にあるそうです。すぐに思いつくのはやはり農薬による影響で、これは直接的な毒素としてもそうですが、カエル以前に昆虫が減っているので、間接的な食糧不足によってカエルが打撃を受けているという側面も大きいでしょう。
水道水は使いたくなかった
ちなみに、水をやらないもう一つの理由として、水道水の塩素があります。今回の農園の趣旨の一つに「土中細菌の育成」があるので、水道水を使いたくなかったというものあります。
水道水に含まれる塩素でメダカが死ぬのに、細菌が死なないわけがない。いや、細菌が増えないように塩素が入っているのだから必ず死ぬはず。
そんなわけで水をやらなかったという背景もあります。土中細菌、特に菌根菌は保水力維持に大きな影響を与えるので、無下に殺していいものではありません。
水やりをして保水力を殺すというのはほとんどコントですね。
で、ささやかながら雨水を溜めており、じつは1回だけ水やりをしました。バケツ一杯の水なのですぐになくなりましたが..。
追加の作物を植える-カボチャと枝豆とハーブたち
隙間に被覆作物を植えていく -カボチャと枝豆
実は少し前に、トウモロコシの友人として、株と株の隙間にカボチャと枝豆を植え込んでいました。これは被覆作物として表土を覆うためのもので、加えて根粒菌(豆類の根に棲む細菌)によって土中に窒素が溜まっていくというメリットもあります。
すでにシロツメグサがあるので被覆作物は不要ではあるのですが、農業という視点では食べられないシロツメグサより、収穫できるマメ科の方がメリットが大きいので、一つの実験として植え込んだ次第です。
この場合、シロツメグサと枝豆と、どちらが勝つのか非常に興味深いところでしたが、現実的には植える際に周辺のシロツメグサを少し制圧するので、枝豆有利の状況からのスタートとなり、1週と少々で枝豆が爆速し始めています。
ハーブ類も植えていく
上記のトウモロコシは、実はForema農園のはしっこの方の話で、メインスペースはある程度耕した良識的な農地。あらかじめ狩った草を積んでおき、堆肥として事前に土づくりを行なってあります。
ここにはスタッフめいめいが好きなものを植えているのですが、現時点ではハーブ類が多いです。
私などは顔を出す頻度が少ないので全貌を把握していないのですが、こちらの良識的な農園の方は現場スタッフが頻繁にケアしているのでうまく機能しているようです。
オチとかありませんが、続きはまた次回。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。