寒さも本格的になってきましたね!体調を崩されたりしていませんか?風邪で病院にお世話になる事が増えてくる季節です。今回は、その時にちょっと頭の片隅に置いておきたいお話です。
薬剤耐性菌が増えている
先日、従来の抗菌薬(抗生物質)効かない「薬剤耐性菌」が増えて世界的に問題になっている、という新聞記事が目に留まりました。例えば子供に多い「マイコプラズマ肺炎」。一般的な抗菌薬が効かず、副作用のでる他の抗菌剤を使用しなければならなかったり、重症化して入院するケースが増えているそうです。また、海外で多数の死者を出している、より強い「薬剤耐性菌」が、いつ日本に入ってきてもおかしくない状況だ、という恐ろしい内容でした。
なぜ増えた?世にあふれる抗生物質
なぜ「薬剤耐性菌」が増えてしまったのでしょうか。その背景にあるものとして、社会全体での抗菌薬の多用による環境汚染が指摘されています。日本では様々な菌に効果がある抗菌薬が便利なものとして、医療だけでなく家畜や養殖魚の飼育現場でも広く使用されています。
写真(養豚)
:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Saitama_Domestic_Pigs_In_Pasture_1.jpg?uselang=ja
それらの抗菌薬が環境を汚染し、耐性菌を発生させているのです。
野生動物たちも、抗菌薬を処方されたペットや家畜と接触するなどして、耐性菌を広めています(今さらですが、私たちの世界と野生動物の世界はつながっているのですね)。そして私たちが飲んだ抗菌薬も、便に混じって下水に流れていきます。水処理センターで浄化されても耐性菌は残ってしまい、川の水を汚染しているそうです。
安易な処方が大きな要因
抗菌薬は便利だからといって、私たちが安易に使用すべきものではないのですね。取り扱いを間違えると、恐ろしい病となって「しっぺ返し」を食らうことになるということは、もっと広く知られなければいけません。
例えば、抗生薬を処方されたときには「症状が治まっても、必ずすべて飲みきってください」と注意を受けると思います。これは、服用を止めて体内に残った菌が、遺伝子の変化を起こして薬の効きにくくなった菌として増殖してしまうのを防ぐためです。「治ったみたいだから、薬はもういいよね」と間違った判断をすると、治りにくい厄介な病気を周囲の人に広めてしまう恐れがあるのです。
写真(マスク)
:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Swine_flu_in_Kazakhstan_(2009).jpg?uselang=ja
そして記事にも指摘されていましたが、「風邪になったら抗菌薬を飲まないと不安」という人々の意識も抗生薬の多用の一因となっています。そもそも、風邪はほとんどがウィルス性であり、細菌を殺す抗菌薬は効かないのです。それにもかかわらず、「抗菌薬を求める患者が多いので、効かないと分かっていても処方している」という医師もいる、というのが現状です。
私たちが抗菌薬を使えば使うほど増えるのが薬剤耐性菌です。患者側の意識を変えない限り、この恐ろしい菌は今のスピードのまま増え続けていきます。
私達にできること
私達にできることは何なのか? 私なりに考え..
- 病院で抗菌薬をむやみに求めない
- 処方された抗菌薬はすべて飲みきる
ということを心掛けようと思いました。それから、十分な睡眠に、バランスのとれた食事に、適度な運動も!病気を寄せ付けない体づくりが一番大切ですよね。日ごとに寒くなっていくこれからの季節、皆さまも体調管理にはお気をつけください。
トップ写真(細菌):https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Staphylococcus_aureus_VISA_2.jpg?uselang=ja