フェレットは肉食動物です。犬や猫よりは馴染みが薄いですが、フェレットを愛してやまないという愛好家も増えてきています。今回はフェレットに鹿肉を与えても良いのかという事について考えてみました。
目次
まずはフェレットについて知ろう
フェレットとは
ペットショップでよく見かけるフェレットはイタチの仲間です。賢く物覚えが良い上、フレンドリーで好奇心旺盛な性格をしているので人によく懐きます。社会性が高く集団生活ができるので、同居犬や猫、他のフェレットとも仲良く暮らせます(ダックスやテリアといった狩猟犬はフェレットに対して攻撃性を示す可能性があるので注意が必要です)。滅多に鳴かない上、お留守番も得意なので集合住宅の一人暮らしでもお迎えすることができます。薄明薄暮性(明け方と夕方に活発に活動する行動様式)なので日中はよく眠ります。「食べる」「遊ぶ」「寝る」を繰り返すマイペースな動物です。
フェレットの寿命
フェレットの寿命は6~10年と言われています。ここ10数年の間に獣医療が進歩してきた為、犬や猫に近い獣医療を施せるようになってきました。成長速度が非常に速く、4歳から高齢期となります。食生活、運動量、生活習慣が寿命に大きく影響します。
フェレットのにおい
フェレットには強烈なにおいを飛ばす臭腺があり、独特の体臭がします。手術で臭腺を除去してもある程度の体臭は残ります。
フェレットの体のしくみ
フェレットは汗腺が未発達なので汗をかけません。そのせいで暑さにはとても弱い動物です。30℃を超える環境下では熱中症になる可能性があります。適温は20~25℃がベストと言われています。
- 内容:500gパック x 2
- 種類:ホンシュウジカ / キュウシュウジカ / エゾシカ
- 産地:西日本/九州各県/四国各県/長野県/北海道
- 部位:混合
それではフェレットの食についてみていきましょう
フェレットは肉食動物!?
食肉目に属するフェレットは、完全な肉食、もしくは限りなく肉食に近い食生活です。フェレットの祖先といわれているヨーロッパケナガイタチやステップケナガイタチは、ネズミやウサギなどの小動物、小鳥、爬虫類、両生類、昆虫などを食べています。フェレットは家畜化されていますが、体のつくりは祖先のケナガイタチとほぼ同じです。
フェレットの食について
生後4ヶ月までに食餌の好みが出来上がると言われているため、大人になってからフードを変更することは難しいです。4ヶ月までの間に色々な物を食べさせておく事で、その先の人生(フェレット生)の幅が広がります。
フェレットは「少量頻回」
フェレットは腸が短いので一度にたくさん食べることをしません。1日に5~6回に分けて少量ずつ食べるのが基本です。消化が早く、食べてから排泄されるまでおよそ4時間です。空腹時間が続くのはフェレットの体に良くないので、食べたいと思った時に食べられるようにしてあげなくてはいけません。
フェレットに必要な栄養素
毎日の主食には、動物性タンパク質を十分に含む食事を与えてください。1日に必要な栄養素は動物性タンパク質30~40%、脂質15~20%、繊維質5%以下が理想です。大量の動物性タンパク質と脂質、ごく少量の繊維質と炭水化物を与えてください。脂肪が不足すると毛艶が悪くなり痒がることもあります。動物性タンパク質の中でも、アルギニンとタウリンという2種類のアミノ酸が特に必要ですので、良質な動物性タンパク質を与えることが重要です。
フェレットに与えられる食物
お肉のほか、お魚など動物性タンパク質は何でもいけますし、レバーを与えても大丈夫です(お魚は好まない子もいます)。フェレットの体は肉類の消化、吸収に秀でていますので、生でも加熱処理でもお肉を与えることは有益です。
盲腸がないので食物繊維の消化は苦手です。高繊維質の物を与えると、消化不良を起こして下痢になることもあります。野菜や果物が好きな子は少なくありませんが、体の構造上、これらを栄養として取り込む能力がありません。糖分を分解する酵素をほとんど持っていないので、特に果物は要注意です。とはいえ、飼い主としては喜んでくれるものをあげたいですよね。たまにのご褒美として、ごく少量与えましょう。
また、炭水化物を栄養源にするのも苦手です。炭水化物を多く摂取すると腸内細菌叢のバランスを崩す原因になります。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
フェレットに鹿肉は食べさせても大丈夫なのでしょうか?
鹿肉がオススメな理由
お肉にはいろんな種類があり、どれを与えたらいいか迷ってしまいますよね。
Foremaは鹿肉を推奨しています。その理由としては、鹿肉は馬肉と同じく体温が高い為「洗浄肉」と呼ばれていて、寄生虫が付きにくいお肉です。フェレットは健康状態にもよりますが、あまり細菌に強いとは言えない動物なので鹿肉はオススメのお肉といえます。
また、食物アレルギー(※)になる可能性もあるフェレットのアレルギー対応食として、鹿肉が含まれたフードが使われています。
※アレルギーの原因になる食物としては、大豆、小麦、とうもろこし、鶏肉などがあります。
- 内容:500gパック x 2
- 種類:ホンシュウジカ / キュウシュウジカ / エゾシカ
- 産地:西日本/九州各県/四国各県/長野県/北海道
- 部位:切り落とし混合
鹿肉の与え方
いくら肉食だからといっても鹿肉ばかり与えていたら栄養バランスが崩れてしまいます。やはりメインには総合栄養食であるフェレットフードを与えていただきたいです。そこに鹿肉やレバー、時には昆虫などの動物性タンパク質をトッピングするのがバランスの良い食餌といえます。
フェレットフードは、1日に必要な栄養素が含まれていますのでおススメですが、同じフードばかりだと飽きて食べなくなる、商品が廃番になる、災害時に手に入らないなど予測不能の事態になった時に問題となりますので、複数のフードを食べ慣らしておくと良いですね。
「噛む」ことの重要性
肉食であるフェレットは犬歯や裂肉歯が発達しています。フェレットフードは「噛む」ことはあっても「噛みちぎる事」はありません。大きな塊のお肉を噛みちぎって食べる事は、歯垢の予防になり脳の活性化にも役立ちます。
生肉は与えてもいいの?
これに関しては賛否両論です。積極的に与えてもいいという意見もありますし、一切与えない方がいいという意見もあります。
生肉を与えても良いという人の意見としては、フェレットは肉食なので生肉の方が消化しやすい、胃酸の濃度は人間の20倍なので細菌は胃酸でやっつけることができるなどの考え方です。
生肉を与えてはいけないという人の意見としては、生肉を食べることで寄生虫や細菌に感染するリスクがある、ボツリヌス菌による致命的な状態に陥る可能性があるなどの考え方です。
どちらの考え方も、生肉に有益な酵素が含まれているのは分かった上でです。
Foremaとしては生肉を推奨していませんし、同時に否定もしていません。
フェレットだからと、ひとまとめに同じ結論になる事はないので、その子その子に合った食生活を飼い主さん自身で見つけていただきたいですね。
- 内容量:100g
- 種類:ホンシュウジカ / キュウシュウジカ
- 部位:混合
- その他:無添加
鹿肉を与えるタイミング
上述した通り、フェレットの食べ方は「少量頻回」ですので、お肉を与える時はタイミングが重要になってきます。ドライフードは置きっぱなしにできても、お肉はどんどん酸化、腐敗が進んできます。お肉などを与える場合は食べるのを見守って、万が一食べ残したとしても下げるようにしてください。続けていると一度に食べるお肉の量が見えてくると思います。お肉の量は1日の食餌量の25%を目安に与えるのが理想的です。
手作り食について
犬や猫でもそうですが、フェレットの手作り食をしている飼い主さんもいらっしゃいます。
手作り食のメリットとしては
- 原材料を自分で選べる
- 過度な炭水化物摂取を避けられる
- 喜んで食べてくれるのを見ると嬉しい
などがあります。
デメリットとしては
- 1日に必要な栄養素を摂取することが難しい
- 手間がかかる
- ドライフードを食べなくなる
など。
入院した時やホテルに預けた時に手作り食しか食べれないと困りますね。フェレットは偏食の子が多いですから、飼い主のライフスタイルに合わせて選択される事をオススメします。
おわりに
フェレットが日本で本格的に飼われ始めてから約30年。犬や猫とは比較にならないくらい短い歴史しかなく、食や医療についての情報もまだまだ少ない状況です。
10年後、20年後には今よりもっと色々な事が解明されていくのを期待して。フェレット初心者さんや、これからフェレットを飼おうと思っている人の参考になれば幸いです。
ワンちゃんネコちゃんに健康な毎日を。食の面からサポートさせていただきます。動物保護・生態系保全などあらゆる角度から野生動物を取り巻く環境について勉強中。
保有資格:愛玩動物飼養管理士一級、動物看護士