瑞穂ハイランド山頂にて

豪雪の邑南 瑞穂ハイランド

最終更新日:
公開日:2018/02/06

ローカルネタで恐縮ですが、今季最大の寒波(の一発目)が来た2018.1.18に島根県のスキー場、瑞穂ハイランドに出かけてきました。この日は平日の上、豪雪で高速道路も通行止め。こういう時、スキー場では一体何が起きているのか?それ以前に営業しているのか? 簡単にレポートしたいと思います。

西日本最大級のスキー場

ゴンドラ山頂
ゴンドラ山頂から朝日をのぞむ

瑞穂ハイランドは西日本最大級と言われる広大かつ非常に人気の高いスポット。広島の芸北国際スキー場も西日本最大級と言われていますが、”級” なのでOKなのだと思います。他にも探すとあるかもしれません。

広島や島根からの来客のみならず、九州エリアからはるばる多くの人たちが集まってくる事でも知られる、広大かつハイスペック(?)なスキー場。エキスパートからの評価も高いっぽいです。それ故に土日は混雑するのが難点なのですが、今回は平日。しかも雪で高速道路が通行止めのため、さすがに人はいないだろうという事で出撃。

パウダー総取りを目指して日の出前の出発となりました。

邑南町という地域

邑南町の村落
邑南町の村落を阿佐山中腹から撮影。

瑞穂ハイランドのある邑南町(おうなんちょう)は、立地的には瀬戸内側の広島市と日本海側の浜田市を結ぶルート上にあるのですが、この辺りは標高が高く山も険しい難所。今回は年に数度しかない豪雪による通行止めという事で、大幅な遠回りをしながら片道3時間をかけての到着となりました。(通常は高速で1時間)

邑南町は以前弊社がソトコトに出させていただいた時にも取材で訪れた町。山の奥深さはもののけ姫の世界(実際にモデルとなった地域)で、ツキノワグマの保護の成果によって個体数が増えている事でも知られています(野生動物保護の成功事例)。

ソトコト
10月5日発売のソーシャルエコマガジンソトコト11月号でForemaが紹介されています! この号のテーマは「日本の森で起きていること」。全国の色
豪雪の邑南町
豪雪の邑南町。

そんな邑南町も真冬の表情は別物。地元の人はほとんど活動していないような無人の山道を経て、ようやくたどりついたのですが・・。

なんじゃこりゃぁ!

瑞穂ハイランド駐車場
通常の平日よりもむしろ車の多い駐車場。九州などの県外ナンバーが目立つ。

それまで車一台通っていなかったにも関わらず、瑞穂ハイランドに入ったとたん、平素の平日以上に車の数が。豪雪で高速道路も閉鎖の中、遠大な迂回路を経た平日の朝早くになぜこのような事が起こるのか??

よく見れば広島ナンバーなどはほとんどおらず、山口や福岡、北九州や大分など、九州エリアからのナンバーが目立ちます。後から九州の人に聞いた話だと、高速道路が止まっているのが分かったから日本海側から下道を通って島根まで来県、そのあと高速道路(浜田道)で北側から近くまで来たとの事。閉鎖は広島方面からの話で、島根方面からは比較的アクセスが良かったのだそう。広島からだと3時間半かかりましたが、九州からだともう少し早かったようです。

ともあれ、世の中には世間の流れから明らかに逸脱した行動パターンの人が一定数存在するのだと改めて気づかされ、元気をいただきました。

豪雪明けの瑞穂ハイランド 超簡単にコース紹介

ラビット

瑞穂ハイランドのラビットとチェスナット
瑞穂ハイランドのラビットとチェスナット

豪雪時期でないとなかなかオープンしない上級者コース(写真の一番左側)。非圧雪というか放置そのまんまのパウダースポット。パウダー以外の時はコブの急斜面と化し、一部のマニアックスのみが貸切りで喜ぶ秘境。ウサギのようにピョンピョン飛ぶからラビットなのかと思っていましたが、普段はウサギが駆け回る自然スポットというのが語源らしいです。知りませんけど。

ラビット 瑞穂ハイランド
ラビットを上から見たところ。一見なだらかだが向こうは崖のような斜面。

ちなみに野うさぎに適した地形というのは深い森ではなく、木がまばらな原野だったり、木立ちが生い茂る前の低木の状態。森林が成長しすぎると疾走の邪魔になるのか野うさぎの勢力は衰えて個体数は増えないそうです。

で、このラビットのように開けた地形は野うさぎにとって生息しやすいと同時に猛禽類にとっても狩りがしやすく、特に葉っぱが落ちる冬場は周りにも隠れ場所がなくなるので貴重な狩場となります。が、人口の針葉樹林が増えすぎた場合、落葉しないのでウサギにとっては都合が良く、結果として猛禽類の飢餓につながります。

リフトに乗っていると林から林へ駆けるウサギの足跡が良く見えて微笑ましいですが、イヌワシやクマタカといった大型猛禽類にとっては落葉しない針葉樹の激増は不都合な面が多々あります。

ビッグモーニング

瑞穂ハイランド バレーサイド
瑞穂ハイランドのバレーサイド、オープン前早朝。2017年2月に撮影。

大きな朝です。このエリア(邑南町)に隣接する地区が北広島町の大朝地区なのですが、語源はそちらではなく、このスキー場のある阿佐山。急斜面コースをビッグモーニング、初級者用の林道をリトルモーニングといいます。(写真の右中央。左はタタミコース)

ビッグモーニングは壁のような広い急斜面に圧雪、非圧雪が平行に走る見事なコースで、しばらく降雪がないと氷壁のような殺人スポットにもなる二つの顔が魅力。カチンコチンのときはアイゼンが欲しくなるくらい怖いです。

バレーサイド入り口
バレーサイド入り口。豪雪すぎて正午近くまで開場できなかった。

この日はあまりにも雪が多すぎてこちらのコースは10時の時点でも封鎖。途中で停電も挟み、お昼前にようやく会場となりました。

パウキチのみなさん
平日に県外から駆けつけたパウキチのみなさん。働き方改革はこうあるべき。

ビッグモーニングが開場する直前に一気に集まって来たパウダークレージーな人々、いわゆるパウキチのみなさん。パウダー狙いで仕事を休んで県外から急行してきたのは間違いなく、

「平日からいい大人が何やってんだ!」

という、個人的に最も好きなシチュエーション。社会的地位や所得と幸福度数は必ずしも一致しない。

ここに群がっているほとんどが中高年ながら、本当にその情熱は見ていて大変清々しく、こういう大人がもっと増えると、しょうもないクレームが氾濫して窮屈な日本がもう少し大らかになっていくのではないかと感じました。

ビッグモーニング
ビッグモーニングを真横から撮影。この日は生クリームのようなパウダー。

コースに入ると、これは見事なパウダーで、俗に言う腰パウ。係の人が「上級者以外は禁止ー!自称上級者もダメ!」と大声で叫び続けていたのが印象的でした。

ビッグモーニングの頂上を仰ぎ見る
ビッグモーニング中腹から上部を仰ぎ見る。オープン直後なので誰もいないが、点検チームが朝一で荒らした形跡が・・。

この日は誰も滑っていない極上パウダーを40人くらいが貸切で滑走していました。「イヤッホー!」という漫画みたいな奇声を実際に聞いたのは何年振りでしょうか。

ビッグモーニングの斜面を俯瞰
ビッグモーニングを遠方から俯瞰。傾斜は30-34度くらいらしい。

一般的にはパウダースノーといいますが、私はパウダーというより生クリームだといつも思っています。山の神様がクリームぶちまけた、というファンタージー。人によっては最高に幸せな気分になるらしく、かくいう私自身も昨年くらいから最高に幸せな気持ちを享受しているので、もう間違いなくパウキチへの道を突き進んでいるのだと思います。

腰パウ
一度転ぶと腰まで埋まり、はい出すのに数分かかり、凄まじい体力の消耗を伴う。

一度転ぶと腰まで埋まり、抜け出すのに5分くらい。パウダーは上達するまでが修行僧のような苦行プロセスがあり、それを凌駕する中毒性に掴まれた人だけが踏み込んでいく世界なのかもしれません。

リトルモーニング

リトルモーニング
リトルモーニングに一瞬だけ日がさした。

いわゆる林間コースで、急斜面をすべれない人向けの迂回路。通常は綺麗に圧雪されていますが、こちらも生クリーム天国。表記としては初級者向きという事になっていますが、実際にはハードトライアルでそれなりのスキルが要求されるコース。延々と繰り返される屈伸運動でモモ肉が焼けるように熱くなるのがここ。

狩猟の場合、鹿や猪を追い回しすぎると血が回ってお肉の質が大きく低下します。これを「肉が燃える」という表現をする場合もあるのですが、この林間コースは人間たちの肉が燃えます。

タタミ

瑞穂ハイランド バレーサイド
瑞穂ハイランドのバレーサイド、オープン前早朝。2017年2月に撮影。

さっきも使用した写真。畳は左側のコース。この山が畳山というのでこの名前のようです。傾斜も広さも最も滑りやすいコース。本日はこちらまで手が回らなかったようでクローズ。

せっかくなので、前シーズンのナイター時に撮影したものを掲載。

タタミコース
バレーサイドの人気コース、タタミ。ハイシーズンはナイターが行われる。
ビッグモーニング下部。
ビッグモーニングの一番下の方。このあたりは初級者でも安心して滑れる。前シーズンの3月末に撮影。この日でこのコースはシーズン終了だった。

瑞穂ハイランドには、今回紹介した以外にも超マニアックだったりエキスパート限定といった素敵なコースが多くありますが、今回のブログは「高速が閉鎖した平日のスキー場で一体何が起こっているのか?」が趣旨なので、ここでは割愛します。

働き方改革。雪山に行ってから出社する

邑南町
凍りつく邑南町。日暮れも早い。

この日は早朝から雪山を満喫したわけですが、決して休日だったわけではありません。弊社の目指す働き方改革の一端がこれで、雪山に行ってから出社というスタイル。

湘南では早朝に波に乗ってから仕事に行く、みたいな話を聞きます。本当かどうかは知りません。ともあれ「出勤前にレジャー」というスタイルは東京では絶対無理でしょう。我らが首都東京は叡智と人材の宝庫ですが、集約が進みすぎて国全体の歪みが限界に近くなっているように思います。

そんな東京では絶対無理な”清流”や”海”や”雪山”…これが地方都市のメリットかつ恩恵であり、東京と比べ他時の経済格差を考慮してもむしろプラスだと思っています。

こういうスタイルを実践しながら自社を大きくしながら広報を行なっていく事で、多くの人が東京の呪縛に気づき、東京以外の選択を考え始めるきっかけになればと思っています。

香木の森
近くにある温泉 香木の森

尚、雪山直後に仕事をするのは腰に負担がくるので、帰る前に日帰りの温泉露天風呂で疲れを癒す儀式は忘れてはなりません。

温泉の後は、満員電車で90分かけて新宿に通勤するのと同じくらいの時間で、雪山から広島市内の事務所まで出勤可能です。

自然を肌で感じてこそ人間。自然を知らない人間が東京で采配を振るうと国全体が方向を見誤る。

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