鹿肉について、ありそうな疑問をまとめました。
Q.鹿肉って美味しいの?
A.鹿肉はおいしいです。昔は「布団を売ってでも鹿を食え!!」と言われていたほど。標準的な鹿(40~60kg)から取れる食肉の部分は14~16kg程度。鹿の頭数が増えている割に希少性が高い一因です。
Q.そもそも、鹿とは?
A.鹿とはクジラ偶蹄目のシカ科に属する動物の総称です。トナカイやヘラジカも鹿の仲間ながら、日本で鹿と言えばニホンジカの事。このニホンジカは日本国内に生存する唯一の鹿科であり、エゾシカ(蝦夷鹿)はニホンシカの亜種にあたります。
草食性の彼らは、実は牛と同様に4つに分かれた胃を持っています。稲などの若い芽を好んで食べる為、農家からは徹底的に嫌われます。一方、山林では木の芽や皮なども食する為、木々が枯れて表土が消失する被害も。これは戦後の国策として推進された植林(建築木材用)によって、鹿が住みにくい(木の実が少ない)山が全国に育成された上、鹿の絶対数が増えた事によるものだと考えられます。
鹿が増えすぎた原因は、高齢化による農村人口減少の他、ニホンオオカミの絶滅や、地球の温暖化で鹿の越冬が楽になった点も指摘されています。ともあれ、過去にも保護と駆除を数サイクル繰り返してきた経緯があり、その結果として今の鹿事情があります。
鹿は比較的泳ぎが上手く、鹿で有名な日本三景の『宮島(厳島)』では、時々鹿が島を脱走します。脱走した鹿は本土(1.5kmくらい)まで泳ぎ切り、そこで猟友会が仕留めて地元の飲食店に引き取られる事もあったようです。宮島に限らず、瀬戸内などの他島エリアでは鹿や猪が泳いで島々を渡る事がしばしばあるようです。(特に猪は泳ぎが達者)
Q.鹿肉の特徴は?
A.とてもあっさりしています。牛肉を食べて胃がもたれる人でも「鹿肉なら大丈夫」というケースもあります。
さらにカロリーは牛肉の3分の1、脂質は10~15分の1とヘルシーであり、一方で鉄分は3倍、たんぱく質は1.5~2倍と、食肉としては優等生の数値を誇ります。鹿肉が美容と健康の味方とされるのはこの為です。特にその鉄分は「金属探知機が反応する(!!)」と言われるほどで、事実、鹿のロースステーキなどは食べた瞬間に『なんとなく鉄っぽい味』がします。本能的なものなのか、この『鉄っぽさ』が女性にウケている側面もあるようです。
Q.調理方法は?
A.ステーキ、しゃぶしゃぶ、焼肉など、基本的に牛肉と同じ感覚で調理できます。でも、やはりステーキがおすすめです。ロースやモモ肉で。
Q.鹿はどこで獲れる?
A.鹿は全国各地の山林に生息しますが、中国山地や四国山地などの過疎地で猛威を振るっているケースが目立ちます。こういった地域では猟友会も高齢化が進んで、駆除が追いつかないとの事。同時に自治体にもあまり資金が無い為、十分な対策が取れない事が多いようです。北海道では全国に先駆けて自治体と猟友会が鹿肉販売事業に乗り出したものの、多くの自治体で採算が取れずに休止したケースも多くあるようです。
株式会社Forema(フォレマ) 代表。生態系保全活動の傍ら、自社ラボで犬と猫の腸内細菌/口腔細菌の解析を中心に、自然環境中の微生物叢解析なども含め広く研究を行なっています。土壌細菌育成の一環として有機栽培にも尽力。基本理念は自然崇拝。お肉は週2回くらいまで。